2005年5月講習会

 5月4日(水)
年に一度の中国人講師をお迎えしてのGW恒例の講習会である。
今回は若手F老師と常連のC老師のお二人を迎え、あとは在県の指導員が種目別に指導にあたる。
F老師は3度目の42総合の指導を担当し、C老師も同じく3度目の42式剣の担当だ。
他に、24式の指導にw代表、88式、48式、32式剣の種目があり、
各自希望する種目に分かれて、今日あすの2日間講習を受ける。

私は毎年、この講習会を大変楽しみにしていて、ゴールデンウィーク唯一の楽しみとなっている。
今年はF老師の42式総合を受けることにした。
実は、おととし初めてF老師がいらした時、担当された42式総合を受けた。
そして、昨年も受けようと考えていたのだが、1日目に用事があるとかでF老師がみえられなかった。
なので、L弟先生の24式を受けていたのだ。
2日目、F老師はいらしたが、初日24式を受けていたので、2日目だけ抜けて種目を変えるのは
L弟先生に失礼になると考え、昨年はF老師の42式総合を受けなかった。
今年、C老師の42式剣を受講することも考えたが、套路をすっかり忘れているし、
予習する時間も取れなかったので、2年ぶりにF老師の42式総合を受講することにしたのだ。
・・・というか42式総合の套路も怪しいんですけど。

 am10:00 開講式
朝、着替えて、体育館に向う途中、廊下でC老師と遭遇。私のことなど覚えてるはずがない。
だって私はこれまで一度もC老師の種目を受講したことがないし、以前会ったのは、
昨年7月全国大会の練習場で、別に私と知らなくとも話せるような状況でだった。
が、C老師は私が中国語ができることを知っていた。覚えてくれていたのだろうか?
「二ーハオ!シェンティーハオマ?」
おっとー。いきなりの中国語だよ〜・・・
「ハオ!ラオシーナ?」
「ヘンハオ!」
絶好調のようだ!(笑)

Tシャツに名札も付けて、珍しく太極拳ズボン穿いて(特別講習では初めての着用。
実は500円で売っていたアオザイをリフォームしたもの)、太極拳靴も履いて(3月に北京体育大学で買ってきた。
今日がおろしたてです)、ヤル気漫々(久々の太極拳なので)の私!
開講式が始まった。ざっと参加者を見渡すと120人くらいだろうか・・・
私はいつものように後ろのほうに立っていた。近くにF老師がいるとも知らずに・・・
おおっと!目が合ってしまった。目が合ったら視線はずせないっしょ!無視できないっしょ!
一応、「よろしくお願いします」くらい言わなきゃいけないっしょ!
「よろしくお願いします。私の姓は×、名前は(フルネーム)×○○です」(中国語)
「日本語で何と読むの?」(中国語)
「姓は××××と読みます」
「××××、長いなー!」
「ええ、でも名前は短いですよ。○○です♪」
「へー、この字、△って読むんじゃないんだ・・・」
F老師の日本語の読み方への知識は大したものだった。
日本人だって読めないような読み方をマスターしていた。
「×は中国では、こう書くんだよ・・・」
「え?そうですか?この字も書きませんか?」
「書かない」
開講式は既に始まっていたが、私ったらF老師とのおしゃべりに夢中でおエライ会長のあいさつや、
w代表のあいさつなどまったく聞いてなかった・・・
「(そうだっけ・・・?あ〜そういえば日本でも中国と同じ字を使う時もあったな)」
そんなことを思いだして、
「F老師!そういえば・・・」と話しかけたら、「シッ!」と口に指立てられちゃいましたからー!
中国人講師の先生お二人の紹介が始まっていたのでした。
F老師はよそ事を話しながらも、しっかり仕儀進行も聞いている卒のない大人だったのでした。
C老師とF老師は呼ばれて、前方へ駆け足で行ってしまった・・・
私は人の話し全然聞いてないし、落ち着きのないウザイ問題児として置き去り状態。
「(んもうっ!恥ずかしいったらありゃしない!私ったら、メチャメチャ印象悪いじゃんよ〜)」

 am10:30 準備体操
準備体操が始まる。指導はF老師。
「(マジメにせねば・・・)」
C老師は斜め前方、カノトちゃんに付きっきりで、手取り足取り指導している。
どーして、カノトちゃんだけが特別扱いなのか、私の長年の疑問だ。
これまでの青年F老師の準備体操は、‘足上げ’させられたり、とにかくキツかった。
私は‘足上げ’覚悟で臨んだのだが、今年はその‘足上げ’もなく拍子抜けするほどおとなしく終了してしまった・・・
きっと3回目ともなれば我々の力量も分かってきて、私たちのレベルの低さに合わせてくれたのだろう、と勝手に
思っていたが、実際はw代表に「準備体操はこんなところで」と止められたのだとか・・・。

 am11:00 練習開始
適当に並んで練習開始。この位置取りで、しばし攻防戦が。
「あなた前行ってよ」「いえいえ、私はここで・・・」「私、套路覚えてないから後ろで」「でしたらどうぞ前へ・・・」
こんな会話があちこちで囁かれて、なかなか並び終わらない。
すったもんだするだけして、最後は整列なくバラバラのまま立っていたりして・・・
私は最前列の2番目。これがいつもの私的ベストポジション。
こんな攻防を無言で眺めていたF老師。私たちが並び終えたと見るや、90度方向転換させた!
私たちは突然のフェイントに驚いたものの、それを見越したかのように、
F老師は涼しい顔して、そして爽やかに「時々前後を入れ替えていきますから」と。
今回の42式総合の受講者は30名くらい。かなり多い・・・
結局私は入れ替えがある度に、どんどん後列なってしまい、ついに最前列に浮上することは
2日間通して一度もなかった。

一度套路を通してから、F老師から太極拳全般の説明があった。
「太極拳の姿勢はビロウチュウセイです。ふつうにしていたのではこの姿勢は作れません。
見てください・・・こうして・・・腰をまっすぐにするのです。違いが分かりますか?」
おおーっ!これだこれだ!
私が長年できないで困っていることで、ずっと理解したいと渇望している‘まっすぐ立つ’話しである。
私は耳をダンボにして聞いていた・・・ふむふむ・・・お話しや理論は分かりますとも。
ええ、ええ、頭では分かっていますとも。
でも、どうしたらそうなるのかわかりましぇーん・・・。
「体の内部、内側をグッと前に・・・お尻を入れて丹田を押し上げるのです」
おおーっ!
丹田を上げる意識かぁ・・・なるほど、なるほど・・・って、できないしっ!
F老師の説明もよく分かるのだが、だからどうしたらああなるのか分からない・・・
頭で分かっていても出来ないのだ。
私はお尻が出ているらしく、‘出っ尻’と指摘されたことがある。だからこの説明に私は興味津々だった。
なんとか解消できればと思う所だったので、私は真剣に聞いていた。
そして股関節を引けばなんとか収まったりしないかなぁ、と、ひとり思案しながら
あれこれ実験していたが、それをF老師に見られてしまい、
「だから言ってるでしょ!聞いてないね!
前(股関節)じゃなくて後ろ(お尻)って言ってるのに!」
と叱られてしまった・・・(泣)
うわ〜ん・・・これでも真剣に聞いてたのよ〜・・・
だって〜・・・後ろ、って言ったってどうやったら収まるのか、分かんないんだもん・・・
お尻なんて動くものなの?・・・えー!?私のお尻動かないよ〜・・・動かないでしょっ!?
頭では分かっていても、私のお尻が分かってくれないんだもん・・・(泣)
そもそもお尻という解釈が間違ってんのかも・・・
F老師は私を一喝したきり、この話しを切り上げてしまったし、
私はまたも問題児として置き去り状態。‘収めること’は今後も私の課題だ・・・。

その後、各段ごとに練習が進められた。
講習は今日とあすの2日間にわたって行われますが、中には今日だけの参加者もいらっしゃる。
F老師は親切に、「あした参加できない人もいますから、ひと通り套路を通せるように最後まで進めましょう!」
言った。F老師は2年前に比べると、
随分物腰がやわらかくなって、口調もソフトに太極拳も優しくなったと感じる。

F老師は私たち30名を半分に分けたり、3分割して見てくれたりしていた。
他のグループの時は見学で休み。心の中で「(楽勝じゃん!)」私はそう思っていた。
ところが、私がまともに太極拳の練習をするのは半年ぶりである。
体力が落ちてしまったのか、半日でバテバテである・・・半年の練習不足が祟っている・・・

 am12:00 ランチ
ふ〜、足がクタクタです〜。
遠方からおいでになってるK夫妻とランチする。
K夫妻はここの団体以外でも太極拳を学んでおり、競技大会の全国大会の常連でもある。
昨年の全国大会では体育館でバッタリお会いもした。
そのK奥様が「今年は全国大会に行けないの〜」と言うではないか。
42式総合は出場人数が削られた。しかもK夫妻の県は激戦区で出場人数が半端じゃなく多いのだ。
その中で勝ち抜いていた実力者なのに、今年は逃してしまわれたようだ。
「全国大会で孫式どうだった?」ときかれた私は、まず表演服が違反だったという持ちネタを披露し、
「本当は出られなかったんですよ。受付の人が気の毒がって、あのショッキングピンクの表演服を着ていた人を
連れて来てくれたんです。もし借りられなかったら出場できなかったんですよ・・・」
「サイズも合ってよかったわよね!」
「そうなんです!・・・それにしても私なんか、ファスナーの表演服があるってことすら知らなかったんですよ!
バカですよね〜。それに太極拳靴も持ってなくて・・・
これ3月に北京で買ってきたんです。今日はじめて履いたんですよ!(嬉)」
「ファスナーの表演服も買ってきたの?」
「いえ、それは日本で注文して作ったんですけど、これがまた微妙に短くてカッコ悪いんですよね〜」
「そうなのよ、難しいのよねぇ・・・体に合うのってなかなかないのよね〜・・・」
と、私の報告会で楽しいランチタイムはあっという間に過ぎていった。

 pm1:30 午後の部
F老師に質問したくても、他の受講者の方が占拠しており、なかなか聞ける状況ではない。
午後の部が始まる前に、K奥様に教えてもらう。
「tuzi、重心が後ろに行ってるわよ。ここは前に重心があるんですよ!」
そっかあ・・・そうだったのか・・・

さて、午後の部が始まった。
私の隣にいた女性が、42式ビギナーみたいで、場所替えがあっても常に私の隣にいた。
彼女は羨ましいことに、F老師に手取り足取り指摘されていた。
「(私にも何かアドバイスしてよっ!注意してよっ!)」と羨ましく思って見ていた。
そんなことを思っていると、套路を通している時突然後ろからやってきて
「肘が張っていた!こんな手は太極拳にないでしょ!」と・・・
「(え?どこですか?どこのこと言ってるんですか?)」
過ぎてしまった動作を指摘されて、マークの顔で固まっていると、
「不知道?分かってないねっ!(怒)」と言い捨てて行ってしまった。
またも置き去り状態だよ・・・(泣)
く、く、くやしいっ!どこのこと言ってたんだろ?過ぎてしまってから言われてもなあ・・・う〜む・・・

「はい、ではもう一度!」
もう一度通してみて分かった。金鶏独立だった。立ち上がるときバテバテだと肘に力が入ってしまう。
入ってしまっていた・・・。
「(ここだっ!ここのこと言ってたのかも・・・)」
注意して立ち上がる。
すると、どこで見ていたものかF老師がやってきて「なんだ、分かってたんじゃん♪」と・・・(笑)

F老師の指摘や注意する口調は決して厳しいものではない。
言葉が短いので怒られたと受け取る受講生もいて、「怒られた」と言って落ち込んでいる人もいたが、
私はそうは思わない。むしろ優しいと思う。少なくとも私はそう感じている。
F老師が本気で指導するならこんなもんじゃないと私は思っている。
私も今回、穿俊から踏脚にいたるときも肩を持たれながら「ふらふらしないっ!」と指摘されたり、
腰が緊張していたり、尻が出ているようなときにポンッと叩かれたり・・・
F老師の指導は誰にとってもソフトだった、と私は感じています。マジで。
「では、あしたは細かいところを説明します」ということで1日目の練習が終了した。
私はボロボロだった・・・「(あ〜、脚がぁ・・・)」

 pm4:30 老師の表演
1日だけの参加者も多いことから、老師方の表演が今日になった。
漏れ聞くところに寄れば、F老師は教室で孫式のクラスも持っているとか・・・
「(孫式見せてくれないかなあ・・・)」と私は心の中で祈っていた。
が、その願いも虚しく、F老師は陳式規定套路の表演だった。そして、C老師は楊式。

今晩は、老師を囲んでの懇親会が催される。
参加したい気持ちもあるが、私は明日の練習に備えて早く脚を休めることに・・・。

 太極マークの表演服、ブームだそうで・・・規定陳式を表演するF老師


 ひょろろ〜・・・映画「ラバーズ」のサントラ盤にのって楊式をするC老師




 5月5日(木)
いやあ、きのうはマジで疲れました〜
バリバリ筋肉痛です。
脚が上がりましぇ〜ん・・・(痛)
いったん上げた脚を下ろすのもシンドイです・・・(痛)
踏ん張れましぇ〜ん・・・(痛)
体は正直です。日頃の練習不足がモロでました!ってことです・・・

「(あ〜、痛いなあ・・・)」
「(分脚ですか・・・うっわー、脚が上がりましぇーん(泣)」
「(・・・独立ですね(泣)立ち上がれないんですけどお!)」
こんな調子で練習中の私は‘心の中でぼやき’っぱなしだった。
F老師はみんなをぐるぐる回って見ながら注意したり、直してあげたりと飛びまわっている。
そして、時々「ここで止まって!」とストップをかける。
直されてる人がいる間、待たされるのだ。
「(うわ〜ん・・・辛いですう・・・もうダメだぁ。早くしてよ〜・・・勘弁してくださーい!(泣)」
F老師はずーっと前方のほうで直してあげている。
私は、脚を下ろすのも痛いので、上げっぱなしでいたのだが、だんだん踏ん張れなくなってきた。
だけど、動かすのは却って辛いので、
膝の下に手を入れて脚を持っていた!
「(えへへ・・・ズルしちゃおっと!見てないもんね♪)」

ところが!
こんな時に限って振り向くんですよ!
げっ?なんでー??(焦)
モロ見っかっちゃいました。
「(えーっ?うそー!)」
F老師は私のズルを見つけて一瞬固まったものの、すぐに睨んできました!
「(・・・やっばーい)」
すぐに手を放したものの、完全にアウト!
「何年か前の俺と同じことしてる(笑)」と、笑われてしまいました・・・
く〜、恥ずかしいのなんのって・・・

F老師の考えでは、「今日はひとりひとりチェックしたいと思っています。
ただ套路を通すだけを繰り返すよりも、私が見て直したほうが、
そして直されてる人を見ることも勉強になると思いますよ」と・・・
うんうん、それがいい♪ありがたい限りだ!
直してもらえて、見学してる間体は休んでいられるし、こんないいことはない!

ところがである。
一部おばちゃんから「套路通して欲しいですっ!」と要望が・・・
(はぁ?)って感じです。
ビギナーのおばちゃんたちは、套路(順番)を覚えることしか頭にない。
せっかく、中国人の先生に習えるチャンスに、チェックしてもらえるチャンスに、
なんで套路にこだわる必要がある?そういうことは各教室でお願いします・・・。
F老師も、このように言われては、それはそれで要望なので・・・
結局、何度も何度も套路ばかり流すことになってしまったのです・・・(泣)

私は「(こうなったら、明日体が動かなくなってもかまわない、骨がバキッとなっても!)」
くらいの気持ちで、思いっきり低い姿勢で動くことにした・・・踏ん張って動いていた。
「(あ〜あ・・・せっかく、F老師にちゃんと見て直してもらえるチャンスだったのにぃ!なんて、もったいないことを・・・)」

しばらくそれで続けていたら、「套路を繰り返したーい!」と言った当の本人たちが、今度は
「疲れたので休みたいんですけど・・・」と言い出したではないか!
(はぁ?)って感じです。
だから、F老師の言うとおり、最初から少人数で見てもらってたほうがよかったじゃんよーっ!
んもうっ!なんてわがままなの!?
F老師は「休みたい人は?」と私たち全員に聞いた。
私も心の中では思いっきり高く手を揚げていたが、グッと我慢した。
優しいF老師は、「休みたい人は休んでください」と言った。
そして結局は、言いだしっぺのおばちゃんたちだけが休んでたという・・・。

F老師は套路を繰り返している私たちの中を巡回しながら見て回っていた。
私が指導された点で覚えているのは、退歩袴虎でもあげた足首を持たれて捻られ直された。
でも私の力量ではそれ以上脚は上がらないし、捻りもきかない。ふらついてしまった。
「あ、なんだ無理か・・・」とあっさり。
(そうなんです・・・先生〜、私これでいっぱいいっぱいなんですぅ・・・(泣)
馬歩靠では、なぜか挑まれて潰されて「あ、なんだ出来ないのか・・・」て・・・
(そりゃないよ先生〜、そんな本気でぶつかってこられても〜(泣)
ここのところの練習不足で、疲労が激しく辛かったが楽しかった。

 F老師のお話し
まだまだ時間がある、と思っていたら、充実した時間は過ぎるのが早い。
私は脚が辛い分、半ばヤケで動いていたが、「やればできるもんだ(動けるものだ)」と
自分の意外な面を発見してしまった・・・(笑)
これでF老師が提案した個人指導だったら言うことなしだったのに・・・かえすがえす悔やまれる。

F老師の最後のお話しは‘ギョーザ’のたとえ話だった。
「・・・中国ではよくギョーザを作ります。でも中に入ってる具材は様々です・・・
白菜を入れる場合もあれば、ニラの時もある・・・肉だったり、海老だったり。一種類だけではありません。
作る人によって様々です。太極拳もやり方はひとつではありません。解釈もいろいろできます・・・」
はっきりとは覚えていないが、太極拳も基本さえ守っていれば年齢に応じて、
また、その人の体に応じて架式を高くしたり低くしたり、多様性を持って動いてかまわないのだ・・・
そんなお話し内容のお話しだったように思う。
私はF老師の話しを聞きながら、中国太極拳の持つ‘懐の深さ’‘多様性’を感じていたのでした。
さらに言えば、制定拳は研究改正されています。
数年前に習ったのと現在ではやり方が違っていたりします。
・・・そのように「絶対これ。」といったことではなく、絶えず流れている生き物のようにとらえるべきなのでしょう。
だから肩の力を抜いて、細かいことはやり過ごして楽に考えているくらいのほうが、うまくいくのかもしれません。

 記念写真
めちゃめちゃ疲れたけれど楽しかった♪講習も終わってしまった。
着替えを済ませ、ロビーに出てくると、F老師がいた。
「辛苦了!」(お疲れ様でした)
指導員の先生方とF老師、C老師のご両名は駅ビルレストランの打ち上げに行くことになっている。
実は私も乱入しようかと思っていた・・・
疲れたので帰りたい気持ちもあったけど、昨晩の懇親会に参加できなかったので、
今日は乱入して中国人先生のお話しが聞きたい。
その前に、写真を・・・がさごそカメラを取り出して、と。
「F老師、照片一下好マ?」(お写真いいですか?)
「不行!」(ダメッ)
「(ぎょっ!ダメだしされるとは・・・)不行ナ?」
「中国語間違ってる!」
「(はっ!ならば・・・)照片・・可以マ?」
「不行!」
「照片・・行不行?」
「不行!」
「照片・・好不好?(同じだよな・・・)」
「不行!間違ってるのは照片なんだよ。考えておくように!」
そう言い残してトイレに行ってしまった。
やっぱり置き去り状態だよ・・・

「えー?写真は照片じゃあないの?むむむ・・・?」
考えてみたが分からない。戻ってきたF老師は悩んでいる私を見て、
「そんなに本気で考えてるんだったら、しょうがないな!」と、写真を撮らせてくれた。
写真の正しい中国語を教えてもらったが、それは忘れてしまった・・・。
現像した写真のF老師を見て、その
笑顔の眩しいこと♪その爽やかなこと♪
まじまじと写真を見つめ「(F老師ってこんなにイケメンだったっけ??)」と思ってしまった私だった・・・

 打ち上げに乱入して
F老師とのツーショット写真撮影にも成功した私は、「以后見!」(あとで会いましょう)と言ってみた。
「え?なんで?」
「え?って・・(会いたくないってか!?)」
「そうじゃなくて、ご飯食べに来るの?」
「はい♪」
そんな会話もそこそこに、F老師はご婦人指導員先生に両腕を羽交い絞めされるように
「さ、F老師行くわよ!」と、拉致されるように連れ去られて行ったのでした・・・。

駅ビルのレストランで打ち上げ。私は少し遅れて乱入した。
ちょうど、C老師とF老師が帰りの新幹線切符を買いに行くところだった。
遅い時間しか取れなかったとのことで、3時間ほど間があった。ゆっくり食事して、お土産を買い物して帰るとのこと。

さっそく、両先生に感想を述べるようにと指導員はじめw代表に言われた。
「(え?打ち上げってそんなこと話さなきゃいけないの?)」
その場に居合わせた人たち(7,8人ほど)が順番に感想を述べた。
こういうコメントは苦手なもので、大変なことになったぞ、何を話そうかと、う〜ん、う〜ん、唸っていたが、
すぐに順番が回ってきてしまった。
挙句に「tuziさんは中国語で」だって。
さっき中国語をダメだしされたばっかりなのに〜、と思いながら、とっさのことで
「我累了・・・痛脚・・・痛頭・・・発焼・・・」と、かなりショボイ中国語になってしまった。
「疲れました。脚は痛いし、頭が痛くなって熱が出てきました。でも楽しかったです、ありがとうございました!」
・・・通じただろうか?

打ち上げでビールを飲んでいたF老師。
珍しいことにたった一杯で、熱いお茶をもらっている。いったいどうしちゃったの?
そしてお酒を召し上がらないC老師は飲んでもいないのに話しがとまらない・・・(←いつものこと)
「・・・教室から成績優秀な選手を出さないとね。習いに来ませんよ、教室も競争ですから。
そりゃ、競技大会とは無縁で教えている先生方もいますけどね、僕たちはそうはいかないから・・・
僕は毎年、会場に行って自分の生徒をひとりひとり練習見てあげてます。選手は心細いでしょう?
声をかけてあげて、本番は僕のほうが緊張して、見ていられないですよ。
それくらい厳しい世界なんです。どんなに優秀な選手でも本番で時間オーバーしたり、
普段の力が出せなくて泣くんですよ。0.02違ったらおしまいですからね・・・」
昨年、私が全国大会でC老師に会ったのが練習場だったから、ご自分の生徒さんを激励にやってきた時だったのだ。
それに、0.02違ったらたしかに大きな差だ。
私なんか、行くのもひとり、そもそも先生がいないのだから、そんなにナーバスになるような選手とは
環境がまるで違うよなー、なんて考えながら聞いていた。
そんな環境の選手と、一匹狼ならぬ一羽の兎なんかがまともに渡り合えるわけない。

C老師のお話を聞いていたかったけど、私はやっぱりこういう場は苦手だし、緊張して居心地が悪い。
お先に失礼することにした。
7月の全国大会で両老師とバッタリお会いできたら嬉しいな。
そして、また来年の5月講習会で再会できることを楽しみにお待ちしております。


(おわり)



 夢の話し(おまけ)

夢をみました。
5月の特別講習にいらしたC先生が、「(全国大会)金曜日に行ければ、tuziの孫式が見たいんだけどね」
と語り、私に孫式のテキスト(C先生が書いた)をプレゼントしてくれた。
さらに
「tuziが全国大会に出られるのは今年が最後だからね。来年からはムリだよ」とおっしゃる。
え?
なぜですか?
と聞きたい衝動を抑え、夢の中の私は考えをめぐらしていた・・・
「(来年はC先生の息のかかった選手が出場するから、独学の私は今年限りってこと?)」
それとも
「(いよいよ伝統拳も年齢制限ができるのだろうか?)」
それとも
「(C先生は私が‘金欠病’だって知ってるの?)」
(「tuzi now」2005年5月15日‘カミングアウト’参照)

とにかく、私の夢はよく現実になるんです・・・