2004年5月講習会

まえがき
GW恒例の太極拳講習会。今年も2日間にわたって開催される。
私にとって中国人の先生に習える年に一度の数少ない機会でもあり、毎年心待ちにしている行事である。
この機会を狙ってマイダーリンのL先生に来てもらえるようにと密かにゲリラ戦を展開していた私だが、
その甲斐虚しくおいでいただけなかった。
でもその代わり今年はL先生の弟さんがいらっしゃることになった。
教室の代表も弟さんがどのくらいの技量をお持ちなのか分からないとのこと。
面識もないし、毎年おいでになっている中国人先生の推薦ということで決まったことなのでした。
弟さんは日本に来て1年ということで日本語がどれだけおできになれるか見当がつかないということで、
W代表が同じ種目の担当になっていた。

私はといえば、4月にヘビーな風邪をひいてしまい、教室にも一週行ったきりだった。
今回の講習の申し込みもしていない。
そんな時、W代表からメールが届いたので返信で申し込みだけは済ませた。
「咳がでますが邪魔にならないようにしますのでヨロシクお願いします」と・・・。
前日にも「列車の都合で開始ギリギリになりますが必ず行きます!」とメールして出かけた。



5月4日(火)講習初日
AM10:00
マイダーリンの弟さんてどんな人なんだろう・・・?
年齢は30歳と聞いていたけど顔は似てるのかしら・・・?
荷物をロッカーにおいて体育館に入ると、毎年いらしてる常連のC老師とその傍らに若者が・・・

!!

似てるようで似ていない。
それに、もみあげ長っ!!

W代表がC老師とL弟先生の紹介をされた。
笑顔でうなずくL弟先生をみると日本語は分かっているようだし、あいさつも日本語でされていた。
来日されて1年ではあるが上手に日本語を話されていた。

C老師の準備体操が始まる。
C老師は‘抱拳礼’(ほうけんれい=中国武術での礼の作法)の作法を延々と話されていた。
私はいつも後ろのほうにいるもんだからあまりよく聞こえない。
・・・と、ふと気がつくとすぐそばにL弟先生がいるではないか。
つつつ・・・と寄っていって「ニン・ハオ!グーグ・ハオマ?」・・・見るからに怪しい風貌に怪しい中国語の女。
しかもL兄先生はお元気ですか?って・・・普通、まずは相手の様子を聞くだろうによ!
いきなり「お兄さんはお元気ですか」はないだろうよ・・・
不思議そうな顔していたL弟先生だったが、すぐ笑顔で「元気です」と。
「ニングーグ・ジンティエン・ヨウシーマ?」
「トゥイ」
L兄先生は全国の団体から引っ張りだこで今日も遠くに行かねばならなくなったそうだ。
ニングーグ・フェイチャン・マン」
「トゥイ」
「お忙しいですね」と言うと「彼は忙しすぎです」と。
私が中国語で「今日はあなたに24式を習います。どうかよろしく!」とあいさつすると、
「それは日本式の言い方ですね。中国では‘私は今日24式を習います’という言い方が一般的です」と直された。
それにしても、もみあげ長っ!!

C老師の話も終わったようで、準備体操になった。
中国人先生の準備体操が私は好きだ。なぜなら、基本功をしてくれるからだ。
弓歩の練習(重心移動)だったりもするが、主には抱球が意識できるような基本功だからだ。
太極拳は円・球である。
準備体操の目的を私は体を温めることと思っている。C老師もそのことに触れていた。
そしてさらに、これからの套路練習にあたって怪我をしないようにとも言い、また集中していく過程だともおっしゃった。
やっぱりねー♪

太極拳の練習をする入り口として集中力を高めていく・・・
そうだよねー♪



AM11:00
いよいよ各グループに分かれて練習開始。私はL弟先生の担当する24式に入った。
42式総合にしようかと迷っていたが、担当されるはずの若手F老師(中国人)が今日は都合でいらっしゃってない。
明日だけになるのだそうだ。
中国人講師の人に24式を習うのは初めてである。
はじめにあいさつから。
「トンシュエメン・ハオ!」
「ラオシー・ハオ!」
L弟先生は発音から手振りで示してくれて、なかなか中国語に厳しかった。
中国語の話せない人たちばかりなので、そりゃなってないのだが・・・。
基本功をしてから、チーシイ、イエマーフゥンツォン・・・タンビエンまで続ける。
「ハイ、ワカリマシタ」
一度何も言わず動かせてみんなの動きを見てから、解説を始めていく。
そして、その話はとても丁寧で親切だった。
声や口調はL兄に似ていた♪

股関節を強調するところもL兄先生といっしょだった。
基本的なことでも忘れているのか、流してしまっているところなどがたくさんあって勉強になる。
例えば、一歩出した時、重心はまだ後にある、など・・・。
例えば、タオジェンゴンでの目線は押し出す手にあるのではなく、引いた手を追っていく、とか。
ガオタンマーの手は立てて相手のあごを狙っているのではなかった、とか。
L弟先生は悪例を示しながらわかり易く説明してくれた。
「昔の使い方はこうでした」と攻防も見せてくれた。
みんなL兄先生と同じ・・・てことは、L兄先生から伝授されてきたのでは・・・?



PM12:00
あっ、という間に午前の練習が終わって昼食タイム。
他県からご夫婦で参加されたKさんが近くで昼食をとっている。
「(いつぞやもお見かけしたご夫婦だ・・・)」
こんなに遠くまで新幹線代やら宿泊代やら多額の出費だろうに・・・。
「どちらへお泊りですか?」
「街中なんだけど温泉があって・・・公共の宿なんですけどね」
へー、そんなところがあったんだー。
私たちが話しをしているところへ、カサ先生がいらっしゃった。
カサ先生は2年連続で全国競技大会で一位になられた選手でもある。
シード選手にも関わらず今年は辞退されたとのこと。
どういうこと?
もったいなくないの?
私が孫式で恥ずかしげもなく全国大会へ行くというので、K夫妻を前に大会の話しになった。
K夫妻は毎年のように全国大会へ出場しているツワモノであるそうな。
「前日に行って更衣室とサブアリーナは確認しておいたほうがいいよ。
会場はすぐなんだけど、建物の中が広くて、中で迷っちゃうんだよ」
へー、そうなんだ・・・



PM1:00
午後の部が始まる。
トンジャオでは無理に足を上げることはしないように、無理に上げようとしてよろけるくらいなら
自分の力量に合わせて決めた方がキレイと強調された。
シャアシイでは足の運びとうしろコウシュをできるだけ上げるようにと注意される。
その方がキレイだからと・・・
タンビエンでのコウシュも同様で、力を込めるくらいがキレイに見えるということだった。
キレイ、という言葉には少なからず抵抗があるものの、それ以上にL弟先生が強調されるのは、
とにかく「自然に」「無理をしない」ということだった。
それってみんな・・・L兄先生から伝授されてきたんですよね?

ハイティーツェンでは発見があった。指先は下に向けるのではなく斜め前に刺すのでした。
その時、体はまっすぐ前ではなくやーや斜めになる。
ガオタンマーの手も立てない、寝かせない、いい感じ♪で、やーや立てる・・・
このようにL弟先生の口癖は、「やーや」「いい感じ♪」



PM3:00
休憩タイム。水分を補給したり、体を休めたり・・・

つつつ・・・とL弟先生が寄ってきた。
「あなたの太極拳よいですね」
「いえいえ、とんでもありません!よくありませんっ!」
「毎日太極拳してますか?」
「はい、自主トレです」
(うそばっか、サボってるくせに!)
それからL弟先生はご自分の練習を話してくれた。
毎朝、基本功をされてるとのこと。L兄先生と一緒に練習してるのだろうか・・・
「あなた中国語はどうやって勉強しましたか?」
「独学です!ラジオを聴きました」
「おおー!素晴らしい・・・」
「孫式も独学しました」
「孫式好きなんですか?」
「うーん・・伝統拳が好きです。孫、呉、武、楊、陳みんな好きです。できないけど・・・」
「制定拳とはぜんぜん違うけど、入ってますね。パイフーリャンチーとか・・・」
「そうですね。先生はみんなできるんですか?」
「できません。楊式だけできます。全部は無理!」
(あなたのお兄さん全部できるじゃんよ!)
「先生も日本語とてもお上手ですね。お兄さんから習ったのですか?」
「いいえ、自分で勉強しました」
「そっか、お兄さんとは中国語で話すのですね」
「そーですよー(笑)」
L弟先生は太極拳を教える時は先生だけど、それを離れたら皆さんが私の日本語の先生だと言う。
L弟先生は私が付けていた名札を見て
「あなたの名前はなんといいますか?」と聞いた。
「ウオーシン・×、ジァオ・×○○」
「日本語でなんと読みますか?」
ホントに天然ボケだよなー。
「名字は××××、とても長いです。名前は○○。どうぞ○○と呼んでください」
「○○さんですね」
「そうです!そうです!(嬉)」
「L弟先生の名前ステキですね」
「私の名前は中国のことわざからとったものです」
「どんなことわざですか?」
紙に書いてもらう。
「お兄さんの名前もことわざからですか?」
私ってば、どんなこともL兄先生に結び付けたがる・・・
「いや、あれは違います(笑)あれは読んでそのまんま!(笑)」

お兄さんの話やら、弟先生の太極拳歴やらを休憩時間に話し込んでいたもんだから、
W代表の‘tuziはL弟先生に話しかけて休ませない!(怒)’光線をひしひし感じていた。
言っときますけど・・・
話しかけてきたの弟先生ですからー!!



PM3:30
今日進んだところまでの質問タイム。
「どんなことでも質問してください」
L弟先生は‘細かい’‘どっちでもよさそう’な、まるで重箱の隅をほじるような質問にも
丁寧に優しく説明を繰り返した。



5月5日(水)講習2日目
AM9:30
昨晩到着したF老師の準備体操。相変わらずハツラツとしている。
午前のうちに最後まで套路をすすめる。
チュワンソーで苦戦。
一歩踏み出した時の重心は後!この点が私のなってないところだったのだ。
虚実をはっきりさせる



PM12:00
今日もk夫妻と一緒の場所でお昼をとる。
「私、太極拳靴を持ってないんですよ。だから向こうで買おうかな、と思っているんですけど、
どこかご存じないですか?」
「そーねえ・・・スポーツ用品店にも置いてないからねえ、太極拳て特殊でしょ?
だったら、通信販売とかの方がいいかも。」
「そうですか。私、この上履きしか持ってないんですよ。
こないだの県大会にもこれで出たんですけど布だから叩いても音がでないんですよね(笑)」
「ウチの旦那なんか初めて大会出る時、バレーシューズで出ようとしてたからね。あはは・・・(笑)
それはやめて、って、その時これ買ったのよ。あはは・・・(笑)」
「バレーシューズ・・・ふふふ・・・(笑)」
「バレーシューズの先にパフッ!って音がするの付けようか、なんて言ってネ(笑)」
「アハハ・・・それいいかも(笑)」
現在のk夫妻が履いていたのは本革の高級品だった。



PM1:00
総復習。

PM4:30
最後はお楽しみの先生方による模範表演。


L弟先生の形意拳


青年F老師の陳式


とりはC老師の楊式刀




PM7:30
私と友人は駅で老師3人をお見送りしようとウロウロしていた。
そこをW代表やトウ先生に見つかってしまい、とうとう打ち上げにまじることになった。
他県からいらした女性おふたりがお土産を買いたいというので案内することに。

地下の名店街に行くと、いつのまにかC老師もいらっしゃった。
はじめは女性おふたりに付いていたのだが、はぐれてしまい友人が
「C老師があそこで買い物してるから、新幹線の時間に遅れないように乗せてね」と言い残して探しに行ってしまい、
私とC老師だけになってしまった。

Kぼこを見ていたC先生は、詰め合わせセット2箱お買い上げー!
「Gタンが欲しいなあ」
「それでしたらあちらに」と腕をひっぱる私。塩味Gタンお買い上げー!
「他になにかないかなあ」
「お菓子行きますか?H焼き!甘いですよー」
「ああ、いつもはHの月買ってたなあ」
「H焼き、お薦めです!」
H焼き2箱お買い上げー!
「先生、そろそろ時間ですよ」
改札に向う。
「もっとないかなあ」と先生。
「よっしゃ、お餅はどうですか?Zもち!」「あった、あった!でも明日中には食べないといけませんよ」
「明日食べるから、1箱でいいな」
Zもちお買い上げー!

いやあ、C老師の買いっぷりは気持ちよかったー!
ほんとだったら私から何かお土産持たせるべきなのでしょうけど、それもなんだか差し出がましいようで・・・
困るよね。こういうの・・・とっさの事だし。
お薦めしたH焼きと、Zもち気に入ってくれればよいのだが・・・
「一路平安!」
C老師が改札くぐるの見届けて手を振って別れた。
別の改札に行って見ると、おふたりの老師がC老師を待っていた。
ふたりの老師とも笑顔で手を振ってお別れした。
ふー。

それにしてもC老師のお買い物ツアーは楽しかったなあ・・・
あっ!

「一定再来」(=また来てくださいね)って言うの忘れた〜



あとがき
いつものことながら、私の自主トレ日記は太極拳の参考にならないことばかりです。
動きがどうの、という内容はこれっぱかしもなく、あんなこんなの四方山話や、
C老師とのお買い物ツアーがこの2日間の講習のなかで一番楽しかったわ♪
などというふざけた内容ばかりです。
でも、これが私の実態なのです。
太極拳を通して私たちは知り合えました。
これからも太極拳を通してたくさんの人たちと交流できたら嬉しい・・・。


(おわり)