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沙田表演会
2003.2.23(日)
pm7:30〜pm10:00
国際香港武術大会は、基本的にチームで大会本部へ申し込みをし、
その行動は大会の運営に従うといったもので、簡単に言えば「武術大会ツアー」だ。
私は違う。私は宿泊も会場への交通も全て自分でしなければならない。フリーの参加だ。
競技エントリープログラムによると、大会開催中、毎日のようにどこかで、大先生方の表演が催される予定になっている。
参加者はそういった表演会へも、上げ膳据え膳で連れて行ってもらえる。
ところが、私のような個人参加者や香港在住の地元の選手はそうはいかない。
見たければ自分の足で会場まで行かなければならない。
22日は朝の7時から8時まで名家表演があったはずだし、
23日も場所は変わるが夜の7時30分から10時まで表演がある。そして25日、26日も・・・
私は遠くの会場はパスして、23日夜の大表演会に的をしぼって観に行くことにした。
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沙田大会堂は駅の目の前のホールだ。IDカードさえ見せれば選手はフリーパスだと思っていた。
受付でIDカードを見せて、当然の如くホール席に入っていこうとしたら、ストップがかかった。
「え?」なにか言っているが私にはわからない。(広東語だった)
「私は日本人です。広東語はわかりません」
「あー、こちらはチケットを持っていないと入れません。選手の方は3階席へご案内します」
「そうでしたか。ありがとう」係りの人が案内してくれた。
この表演会は大会参加者のためではなく、普及のデモンストレーションでもあるらしい。
各武術団体に大会への参加不参加関係なく、チケットを販売して開催したのだ。
だから、1階席は指定席かもしれないし、太極拳をしてない来賓客もかなりいるのだろうと思った。
あと20分くらいで始まるというのに思いのほかガラガラだった。
「ラッキー!一番前があいている」
3階席の一番前はさえぎるものがないし、ポールに寄りかかって見れるので、ビデオ撮影や写真を撮るには最適だ。
私は一応ビデオカメラを持ってきてはいたが使い慣れていないし、バッテリー時間が短い。
充電はしてきたがうまくいくかどうか自信はないが。
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隣に45歳くらいの男の人がふたり座っていた。
前の列には、まだ私とふたりの三人しかいなかった。
プログラムを見ながらなにか話している。
プログラムがあるの?(私は競技大会の冊子しか持っていなかった)どこでもらってきたんだろう?
「あの、すいません。そのプログラムどこでもらってきたんですか?」
「下にあったよ」
「下?」また下りてあがってくるの面倒くさい・・・
「ちょっと、見せてもらってもいいですか?」
「ああ、いいよ。あげるよ。俺たちふたりで見るから」
「ありがとうございます」
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半ば強引にもらったプログラム。始まってみたら全然違ってた・・・
プログラムによれば約30人の表演が予定されていた。
どの人も聞き覚えのない名前ばかりだ。
でも、それは私が知らないだけで、中国では有名人なのだろう。
隣の人に聞いてみた。
「この人たちは中国では有名人なんですか?」
「プログラム最初のうちは香港の先生方だな。あとは中国から来たスゴイ人だよ・・・
特に‘太極門派師範級’の先生方は太極拳してる人なら知らない人なんかいないよ」
「へー、この人たちですか・・・」
「孫式の‘趙勇’は中でも一番だな!」
セレモニーがはじまる・・・
表彰される招待師博
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プログラムの予定と全然違う進行だった。
隣の男性は、どっかに携帯で電話して、手書きのプログラムコピーを手に入れた。
裏にコネがあるようだ。おかげで、私も表演内容がわかって助かった。
ビデオカメラで全表演を録画している。
「有名な人が出てきたらお知えて下さいね」
私はバッテリーが心配なので全部を録画するなんて、とてもできない。
結局、楊式を録画しただけでバッテリーが切れてしまった。なんとも情けない、しょぼいビデオだ・・・
白鶴拳 中国内陸から招かれた重鎮の華麗な表演の渦
中でも目を見張ったのが‘趙保和式’だ。
これはものすごかった!とにかくすごいの!客席もやんややんやの大喝采とため息の連続・・・
‘白鶴拳’もなかなかよかった。
私が知ってる制定拳套路では呉阿敏(女史)の‘42式総合’。堂々たる美しさ!
「彼女はVCDをたくさん出してるよ。知らない?有名人だよ」
私はこの時まで呉阿敏を知らなかった・・・太極拳してる端くれとして恥ずかしい。
是非もう一度見たい!趙保和式!
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呉阿敏の次が‘42式剣’だった。
表演者を見て驚いた!
その彼女は、大会で知り合った西安からきた彼女だったのだ!
「はあ?興味ないからこない、って言ってたのに・・・出演してるよ・・・」
彼女はあの日の夜の競技で優勝したのだ。もうひとりの‘鞭’の彼女も出演した。
彼女たち、大先生と大舞台で共演したし、これで一流選手のひとりじゃんか!
そのうちVCD発売なったりしてね。
それにしてもビックリしたなあ、もう!
主審判だった人の剣の表演もあった。
この主審は日本(後日、名古屋在住であることがわかった)で指導にあたっている。
審判の紹介でも‘JAPAN!’と言われていた。
彼は草刈正雄(古い?)のような顔立ちで、その功夫も素晴らしかった。
日本で教えている張先生。
競技大会では主審をつとめていた。後ろ向きのショットですが、正面は草刈正雄でした・・・
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こうして各種太極拳の華々しい競演を見ていると、楊式のなんと退屈なことか!
まるで、テレビでサッカーの観戦をして、すぐ野球の試合を見た時のようなけだるさを感じる。
「まだかよ・・・」
客席は正直だ。あくびが聞こえてきそうだった。
「長いよ・・・」
まだまだ続くのに、拍手してしまいたくなる・・・
「楊式ってダメだなあ・・・」
録画なんかするんじゃなかった・・・
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とにかくありとあらゆる太極拳を、ゲップが出るほど堪能した。満腹です!
こういった機会はそうそう持てるものではない。
中国から大師範が一堂に会すなんてこと自体、滅多にあるものではない。
私は出発までいろいろあったが、香港にきて本当によかったと思った。
大会参加にしても、この表演会にしても自分の肥やしになったことに違いない。
真物を見る。このことに尽きるのだ!
美術品だって、絵画だって、真の実物を目にしただけで偽物が見破れるほどの成長をみせるものではありませんか。
一番の勉強になる。
私はこの点において幸せものだ、と思う。
そうは言っても、目だけ肥えても仕方ないのだけれど・・・。
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(旅行記・太極拳修業記もご覧下さい。内容が違います)
「沙田表演会」旅行記バージョンはこちら
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