「実」
2008年

1月
我教室も1月9日にめでたく初稽古を迎えまして。
「今年一年の太極拳向上を願って、健康で練習に打ち込めますよう」
そんな思いに駆られるのが初稽古ってもん。
なのに、結果初稽古参加者はたったの4人!私で5人。
「さびしい・・・(泣)」
いつもどおりふつうに準備体操して、ふつうに練習して、24式の中間発表3名と、Gさんの88式途中までの披露。
私へのリクエストは無かったので整理体操して終了。
「さびしすぎる・・・(泣)」
この閑散とした教室はどうしたものか・・・

翌日、私は町の文化協会に加盟申し込みに行った。
「できることからコツコツと」
知名度ゼロからの脱却と、生徒さんの発表の機会を作るべく。
地区に支部があったはず、と思いそこに行ったら、文化振興課に行かねばならないという。
我町は平成の大合併に乗じて、面積だけはやたら広くなってしまった。
それでその文化振興課とやらは車で20分、活動の場を広げたいが為私はく15kmの道のりを走った。
遠路はるばる町の文化振興課に伺えば「それは地区長に申し込むんです」と。
「え?どういうこと?」
「ここ(文化振興課)ではなく、各地区の地区長さん経由で申し込むものなんです」と。
それって誰?
申し込みに必要な書類は?
から始まり、地区長さん宅の地図まで見せてもらい、
本来は地区長さんが持ってるという申し込み用紙もコピーしてもらい、
記入してすぐに出せるように段取りして帰途につく。
「なんだよ!わざわざ来なくてもよかったんじゃんか!(怒)」
私はさっそく書類を記入し、地区長さん宅に電話した。声の調子からかなりご高齢と見受けられる。
「そういった書類関係は副会長に任せてあるから、そちらに届けてくださいな」
それって誰?
・・・これって‘たらいまわし’じゃないか?!
副会長のお名前を伺い、書類と年会費を添えて持参した。
そのお宅、店舗なので事務所におるだろうと思って行ったのだが、ちょうど副会長本人は不在だった。
預かります、と言う事務所の兄ちゃんに書類と会費も置いてきた。
「何かありましたら連絡お願いします」と言付けてきたが、何の連絡もない。
ふつう受け取りましたの電話一本あっても良さそうなのに。

昨年の公民館の対応といい、こんな理不尽な対応ばかりの教室運営である。
まるで「渡る世間は鬼ばかり」の実写版である。
遠く文化振興課のある地区まできたのだからと思い、
その地区に新しくできた体育館にチラシを置かせてもらおうと寄った時のことである。
受付でお願いすると、中からジャージ姿の女性が出てきて、「よいですよ」と快諾してくれたまではよいのだが・・・。
「こちらでも太極拳してるんですよ」
「こちらの主催で講習を開いたら、自主的に継続したいというので、先生を招いて続けてるようです」

太極拳は‘百聞は一見に如かず’
だからこそ表演の場を設けたい。ひとりでも多くの人に一度見てもらいたい。
私自身動きに自信があってのことではないにしろ、判断は見てからにして欲しいものだ。
あ・・・そういえば初稽古の昼に問い合わせの電話があった。
私ったら「一度見学に来て下さい」って言うの忘れたー、ってそれじゃダメじゃん!(←春風亭昇太で)



さて、今年のテーマですが。
「実」
「確実」の実・・・「実り」の実・・・
私自身、確実なものを得て、昨年よりは今年のほうが実りある年にしたい。
そのようなことを願ってのことです。
ところが、太極拳において「確実なもの」というと大変難しいかな、と思います。
昨日「これぞ確実!」と思ったことが、今日になったら「なーんだ、確実と思い込んでいただけだった」
なんてことになりかねない。その実体は実に怪しいものです・・・普遍性というものがありそうでない。
いやいや、太極拳なのだから普遍性はなさそうで存在する、そう思い返してみたり・・・
その見極めは本当に難しい。
とまあ、そんな風に考えているわけですが、つまりは
自分なりに「確実」と思えるものを掴むべく精進をしよう!と心がけましょう、ということです。
要は「精進」。そして後から「実り」がついてきてくれればな、と。



2月
「確実なもの」と言えば、年末にイチロースペシャル番組がありまして。
私は以前からイチロー選手に注目してまして、その番組も録画予約しておったのを、最近になってようやく観ました。
改めてイチロー選手の凄さに目を見張ったわけでして・・・
かねてから、イチロー選手の言動、その考え方は太極拳と通じるものがあるな、と感じてました。
それは今回のインタビューの中にも多々みうけらたわけで・・・。
例えば、「確実なもの」に関して言えば、あのイチロー選手でさえバッティングフォームを毎年変えているという事実。
‘変えている’というより、毎年‘新たに試みてる’と言った方が合ってるのでしょうが。
あのイチローがですよ。
あの大記録をいくつも立てているイチローがですよ。
「確実な」バッティングと自分では感じてないということですよ。
「よくあれで打ててたな」と思ってるそうですから・・・
でも、その気持ちわからないでもないんです。私も太極拳で同じようなことを考えます。
「よくあれで大会に恥ずかしげも無く出てたもんだ」と思うことの連続。
それがその時は「よしっ!」と思って堂々とできちゃうんだから・・・(恥)

今年の県大会では、かなりその感が強くでました。孫式は形意拳と八卦掌の融合、とよく言われております。
ですので、私も孫式を志すものとして八卦掌にはこれまで何度となく挑戦を試みてるわけでして・・・
そしてその度に挫折し、「無理っ!(泣)」だったのは周知の如くです。
でも、本で読んだり、映像を観たりしてその理屈は解ってるつもりなんですよ。
ただ体感できない、そのスピードについて行けない・・・
一方、形意拳に関しては勉強してなかったのですが今回、数年ぶりに映像をひっぱりだしてギョッ!、としました。
三体式が・・・手法が・・・「これか・・・」
そんな新たな発見を孫式に取り入れてみれば、「あ〜ら不思議♪」、
これまでと違った意識の孫式が顔を覗かせてくる。
昨年までの自分の孫式が「よくあれで大会に恥ずかしげも無く出てたもんだ」になってしまう。
毎年毎年そんなことの繰り返し・・・
もちろん、昨年は昨年で自分が納得した孫式に仕上がった、という自信を持って臨んでたわけですので、
毎年が自己ベスト
今年だってかなり自分の中ではバージョンアップした孫式に仕上げて行ってるつもりですが、
来年になったらまた新たな発見があって、恥ずかしい思いを繰り返すのでしょう。
ま、終わりが見えないってことです。
2月は県大会に向けて練習をしなきゃいけなかったんだけど、いや2月じゃ全然遅いんだけども
これがまた母の体調が思わしくなく、遅々として進まなかった。
特に孫式剣などは収勢まで套路を覚えきっていない(焦)
なんとか間に合わせたものの、ほんとギリギリ・・・
剣を優先させての練習ばかりで孫式自選の練習はゼ〜ロ〜(焦)
新たな套路を作ってる余裕などまるでなく、以前の套路を思い出すだけで精一杯。
それでもどちらかと言えば、やっぱり孫式剣の方が不安である・・・
3月始めの県大会に、やっとこさ仕上げて臨んだその結果は・・・(「競技大会」でどうぞ)



3月
1月に町の文化協会副会長に年会費を添えて書類を置いてきた。
それから2ヵ月後、3月5日付けで正式に加盟を受理されたとの書類が届いた。
19年度の決算と新加盟団体の紹介を兼ねた総会が開かれるとの案内が届く。
その日は土曜日だったが、すっかり忘れており、総会をすっぽかしてしまった。
「(ま、しょうがない)」と、まるで漫才の昭和のいる・こいる師匠になってしまった。
その後届いた案内は、6月に催される町全体の演芸大会である。
私の住む田舎町は稲作が中心の農業が主である。
田植えが終わると‘さなぶり’といって、労をねぎらう意味でお祭りや、
温泉に湯治に出かけたりと、昔からなにかしら行楽の行事が催されてきた。
その名残か、‘さなぶり大会’と称して、ホールや体育館を会場に盛大に演芸が繰り出される。
秋の収穫祭の春版とでもいいましょうか・・・
とはいうものの、私はこの‘さなぶり大会’というものを一度も見た事がない。
というか、そういう催しがあるということすら知らなかった。
わが町は3町が合併しており、秋祭りはその3ヶ所に分散され、日にちも違う。
でも、春の‘さなぶり大会’は3町合同なので、秋より盛大なのだそうだ。
なのに、私はまったく聞き覚えがない・・・

とにかくだ、その‘さなぶり大会’に出演団体を絞り込む会合があるのだ。
急遽、召集をかけ、出演希望を出す旨を承諾いただいた。
聞くところによれば、1町の割り当てが10団体。
しかし、舞台部門は30団体ほどある。もし、その30団体がすべて出演を希望したら・・・
そのような調整が今度の会合でなされるわけだ。
「(新参者が出たいなんておこがましいのかな・・・)」
もし、出演が叶わなくとも、その時は秋祭りがあるさ。ダメもとで希望することに・・・。

初めての文化協会への顔見せ。
今日出席した団体がちょうど10団体だったので、調整なしで30分もしないですんなり決定。
私たちの太極拳も出演が決まった。忙しくなるぞぉ!

4月には町全体の文化協会総会があるし、5月には‘さなぶり大会’の会合が何度かあるはず。
6月は本番前のリハーサルと本番。それが終わったら私はすぐ全国大会・・・
そうこうするうち秋祭りの準備と・・・その前に県大会の申し込みと・・・
ふ〜、協会と個人的な大会参加と教室と。
自分で仕事増やしちゃったわけだけど・・・文化協会加盟って何かと忙しないものです(疲)
こういった団体として活動していくにしても、また、表演の場や教室の会場をスムーズに確保する等等・・・
そのためには政治が深く関わっているんだな、と私は実感した。
後日行われた総会に出席すれば、来賓として町長初め議員が並び、町の職員のお偉方が協会を牛耳っていたる。
町の行事にも加盟団体でなければ、例えば今回のような‘さなぶり大会’への参加も叶わないわけだし、
参加できるとしても、その案内も届かないし、公表されてるわけでもない。
やはり文化協会や、町の職員でもなければ知りえない情報だったりするわけだ。
また他の施設利用の件だって、例えば開放されているスペースの情報や、その使用方法、申し込み先・・・など
そういった情報も加盟団体でなければ知りえない。
多少忙しくはなるが、積極的に参加して活動を活発させたいと思う。



4月
4月というのに新入生ゼロ。4月末に無料体験教室開催。
その告知を地域限定のタブロイド紙に2度ほど載せてもらったが問い合わせゼロ
図書館のチラシを見たという人から電話があったが、見学にも来ない。
会場が辺鄙だからですか?
夜間の教室だからですか?

そんな時、無料体験教室の広告を載せてもらっているタブロイド紙から取材の申し込みがあった。
そんな申し出を断わる手はない、と二つ返事で引き受けた。
後日、首からカメラを下げて、首にオノヨーコ風のマフラーを巻いた、
いかにもジャーナリスト風な背の高い女性が教室に取材にやってきた。
写真撮ってすぐ帰っちゃうのかな、と思ったら結局最後まで教室風景を見て帰った。
これだけ長い時間話しを聞いていったのだから、さぞかしデカデカと写真が載る大きな記事なのかと
思いきや、拍子抜けするほどチッチャな記事でビックリしてしまった・・・(涙)
掲載されることを分かっている人にしか見つけられないだろう、てなくらい小さくて・・・。
私でさえ「どこどこ・・・?」てな感じで探さなければ見つけられないほど。
むしろ、その下のペット紹介のワンコやニャンコの写真の方が目立っていたくらい。
ま、しかしながらそんな誰もが見落とすであろうチッチャな記事でも、見ている人は見ているもので、
後日その記事を見たという人が見学にやってきた。

同じ日、今度は町の公民館から短期講座の申し込みがあった。
もちろん、引き受けることにした。
昨年の高齢者学級の講座は不評だったのか、継続はないし、教室に来られる方もいなかった。
今回も期待せずに、まずは受講生の皆さんに太極拳を楽しんでもらえるよう努めようと思う。



5月特別講習会
年に一度のお楽しみ♪
毎年恒例の5月講習会。
中国人の先生は昨年と同様、いつもいらっしゃってるC老師とR老師だ。
C老師は長年いらっしゃってる先生なんだけど、私はこれまで一度も教えを受けた事がない。
そのC老師、種目がこれまで42式剣だったが、今年は新たに楊式規定になった。
それを知って私も「(それならこの機会にC老師に習ってみようっか・・・)」という気になった。
・・・なんだか5月講習会も私の中ではマンネリ化してきていたところだ。
種目を新たにするとか、習ったことのない老師に習うのもいいよね、
そう考えて今年は楊式規定を習うことにしたのだ。
それと、私が5月講習で楽しみにしていることがもうひとつある。
それは遠方からいらっしゃるレベルの高い受講生と練習をご一緒することだ。
関東都心からいらっしゃるその方たちは、田舎者の私に緊張感を起こしてくれる存在なのだ。
いつもダラーッとした練習ばかり繰り返して、向上など望めないと感じている私は
最近では、向上が望めないばかりか、緊張感のないダラーッが習慣になりそうで怖いとさえ感じてる。
都心で腕を磨いてる、その方たちに年に一度でもお会いして、一緒に練習をすることで、喝が入れられたら、
無言の刺激を受けられたら、よほど勉強になるというものだ。
だって、その方々、私の愛するL先生に毎週習ってるんだから、そりゃレベル差どころの話しではない。
ま、とにかく今年は楊式規定を受けることにし、私は予習にとりかかった・・・。



当日。
予習もバッチシ。
この講習は他県からも大勢練習に集まってくる。
隣県に転勤していたM先生の姿も。M先生はその転勤先で伝統楊式をされてるそうな。
「北京の楊式はどんなかと思ってね」なんて言ってる。
規定套路なんですけど・・・。
北京も上海もないんですけど。
お弟子さんにも「上海式と北京式では違うんだよ」なんて言ってる。
だから規定套路なんですけど・・・。

C老師の講習は套路説明を中心に順調に進んだ。
野馬分鬣の手をしつこく直されたり、湾弓射虎の足を踏み間違えて激怒されたりしたが。
今回は都心で腕を磨いてる方々がいらっしゃらなかったので、ぬる〜いなかで順調に進んでいったって感じ。
受講最後の老師の表演で、C老師はお得意の楊式刀で登場。
それを見たM先生が「あれはね、特注の刀だよ」と自慢げに言ってる。
私の隣に座っていたM先生の生徒さんたちが「ほぉー(さすがM先生。なんでも知ってるのね♪」と、
真に受けたではないか。
私は堪らず「あれは一般的な楊式の刀です。ふつう私たちが使ってるのは、どちらかといえば陳式刀なんですよ」と
口をはさんでしまった。

講習会では多数の種目に分かれて練習をしている。
32剣を指導していたS氏。人づてにそのビックリ指導が明らかになった・・・
剣は片足を上げますね。その意味は?
そう問われたら、私もこれまでマジマジと考えたこともなかったし本当のところも分かりませんが、
私が答えるとしたら‘膝をガード’してる片足上げだ。と答えるでしょうね。
だいたいが攻撃の型で片足上げになる、ということはその時の防御と思うからなのですが。
ところがS氏の弁によると、
「金鶏独立だから足を上げる時、相手に砂をかけるのだそうだ(驚)
そうなの?
第一に金鶏独立って砂をかける足だったの?
足上げる時、バッ!、って足で砂ひっかけるように上げんの?
そうなの?
私、聞いたことないんですけど・・・
それは誰の本に書いてあったのぉ?誰の説ぅ?
生徒さんたちS氏の‘砂かけ説’を受けて、剣の足上げの度に砂蹴ってるんだろうか。

・・・ああ、そういえば私もトンチンカンなこと言われたっけ。
休憩してる間に、他の種目を見学する人がある。見るとはなしに見えてしまうんだろうけど。
私たちの楊式の隣で練習していた48式を受講していた人に、いきなり「キレイですね」と話しかけられた。
動きがキレイだなんて、素直に喜べない私。私にとっての誉め言葉はカッコいいーなんですけど・・・。
いや、問題はその先です。
「ほかに何かしてるんですか?」と質問されたのです。
ほかにって??
習字とか編み物とか??
お琴とか三味線とか??
質問された「ほかに」の意味が分からず、「ほかにと言いますと?」と私は聞き返した。
すると、「ダンスとか、エアロビとかしてるんですか?」と言うではありませんか。
「(キッパリ)してません」
「ほかにスポーツはしてないんですか?」
「太極拳だけです」
こう答えて不思議そうな顔されることが不思議なんですけど。
「ほかに」って聞かれて、今頃になってやっぱ「習字っ!」って即答しとくんだったと悔やまれます・・・
だってさ、ダンスとかするくらいなら、習字の方がよっぽど太極拳の修業になると思うんですけど。



5月
私の愛するL老師。
そのL老師に毎週習っているという都心に住むKさんは、今年の5月講習にいらっしゃらなかった。
昨年はL老師に孫式を習ってるとかで、羨ましくて羨ましくて・・・
「私もお邪魔したい〜」と教室の在り処をしつこく聞きまくったりしていた。
Kさんたち御一行様は私に都心の刺激を与えてくれる存在だ。
太極拳を学ぶものとして、緊張感を与えてくれるKさんと今年はお会いできなくて残念に思っていた。
5月半ば、L老師が夢に現れた。
夢の中でも、ここぞとばかり「L先生〜、孫式教えてくださ〜い」と私は懇願していた。
そしたらL先生、「ええ、いいですよ。来週いらっしゃい」と言うではないか。
お告げの日は第3週の練習日。
お忙しいL先生は実際は月に1,2度しか教室に顔を見せないとKさんから聞いていた。
第3週は可能性が極めて低い。でも夢の中のL先生は「来週いらっしゃい」とはっきり返事した。
L先生が呼んでいる。
行かねば。
私はこの機会を逃してはなるまい、と、かれこれ1年、行きたい行きたいと思いながらも
先送りになっていた東京行きを夢のお告げによって即決した。
Kさんにメールをすると、C老師(その教室はC老師主宰)に連絡しておいた方がよいのでは、と
メルアドを教えてくれた。
さっそくC老師にメールしたところ、第3週は孫式の練習がないとのこと。
ガーン。
私の夢のお告げはガセだったか・・・
でもま、これでC老師とつながりはできた。
宿の手配もあるから、6月第1週に行く旨を決めた。
その週に孫式があるかどうかの肝心のメールにはC老師からいっこうに返事がありません。



6月
C老師から返事がないまま、「とりあえず行ってみよう」のノリで東京に向った。
たぶん、L先生は来ないと思う。
これまでの話を総合して判断すれば、今日L先生が練習に現れる確率は20%といったところだ。
C老師にお土産を調達し、もしもの20%に備えてもう一個。Kさんにも一個。
L先生が来なかった時に備えてC老師に習う剣も持った。結構な荷物だ。
東京に着いたら雨だった。
幸い、予約していた宿が駅からすぐ近くで、地下鉄の駅にもすぐで助かった。
何もすることがないので、1時間半も早く練習場に着いてしまって、時間を持て余す。
ホールのベンチに腰掛けて「Kさん、早く来ないかなぁ」と待っていたら太極拳パンツ姿の男性が現れた。
「(C老師のクラスの人だ)」
練習場が明るくなり、その初老の男性は一人で練習を始めた。
「すいません、こちらC老師の太極拳クラスですか?」
「ああ、そうですよ。中で待ってたら?」
少々無愛想ながら中に入れてくれた。
もうひとり、中年の女性が合流し、「今日L先生来るのかしら?」と話してる。
聞き耳を立てる・・・
「さあ・・・?」
「(生徒さんでさえ‘さあ・・・?’なのか・・・)」
L先生はいつ来るのか生徒さんにも分からない、いつお休みなのかも分からない、そんなことには慣れっこなのね。
教室の時間が近づき、続々と生徒さんが集まってきた。
今日は第1週なのでお月謝の日のようだ。
徴収係りの女性のもとにみんなが寄っていく。Kさんから支払いはカネコさんにと聞いていた。
「(この女性がカネコさんか・・・)」
私も「C老師には連絡してあるのですが、私毎週は通えないのですが」と事情を話すも
「それは私からはなんとも言えませんので先生と相談してください」と無下に却下。
それはそれでもっともな話なのだが、なんとも感じ悪い。
遠方より来たる、は一切関係なし!
ニコリともせず「何しに来たんだよ!」的な人を寄せ付けない戦闘モード漂う表情。
「はあ、ではC老師と話してみます」と部屋をでた。
着替えを済ませたC老師を見つけ走り寄ると「ああ、来れてよかったね。月に2回来れる?」と。
そりゃ、お金さえありゃ毎週でも通えるさ。予算の都合上、月に一度ってところでしょ。
てか、そもそも今回だけのつもりしてたんですけど。
いつの間にかコンスタントに通う話になってるし。
いきがかり上、話の流れで毎月通うことになってしまいそうだが、それもいいだろう。
L先生に孫式習えるんだったらね♪
月に一度、って話したらC老師はカネコさんに向って
「この人、月に一回だっていうから4,000円もらっといて!」だって。
ゲー、高くねえ?
一回4,000円って高くねえ?
一回2,000円か3,000円のつもりしてたんですけど(泣)

・・・と、そこへ遠くのガラス越しに夢にまでみたL老師の姿が!
遠いけど、あれは確かにL老師!
わずか20%の確率だったのに、まさか練習に現れるなんて!
あいさつせねば!
私、勝手に足が動いてました。
「L先生!tuziです。宜しくお願いします!」
突然見覚えのない人に話しかけられて戸惑っていたL先生のお言葉は私の嫌いな言葉、
「がんばりましょう」だった・・・(涙)
「L先生は毎週いらっしゃってるわけじゃないんですよね?」
私は思い切ってL先生に直接聞いてみた。
「毎週来てますよ・・・ん〜、講習が入ったときはお休みしますけど」
えー、そうなのぉ?
基本毎週?
うそでしょぉ?
そうなのぉ?
さっきも生徒さん「・・・今日来るかなあ?」「・・・さあ?」みたいな会話してましたよ。
もう、なんかよく分からんっ!そして頼りのKさんはお休みだし・・・。

それにしても都会の教室はレベル高いっす。
剣振り回してる若いお姉ちゃんは「私、選手です」オーラ、ビシバシ発してるし、
後ろの物静かな男性は、体グニャグニャで「全国大会もうすぐだから」オーラ、ガンガン発してるし。
前のほうで練習してるおじさんは、楊式自選の練習繰り返して、それは明らかに大会用だし。
ほかの生徒さんたちも、ただものじゃないオーラ漂う中での、私だけ場違いで浮いた感じ・・・
この針のむしろならぬ虎の穴的な教室。
こういうレベル高い教室で全国大会出場選手たちが育ってきてるのね。
私みたいに、あのぬる〜いレベル低いお遊戯のような練習で育ってるのとわけが違うのよね。
私は幸い、そのことを感じてるし自覚もしてるからまだマシとせにゃならんが、
実力の差は歴然としてて、それは今さらどうしようもない・・・(←ぬるいままサボってた報い)

L先生の準備体操。
もう、これだけで息が上がりますって感じ。
準備体操だってのに必死に足上げ頑張って(←頑張らないと足があがらない)、ついていくだけでヘトヘト・・・(汗)
いよいよ孫式の練習が始まる。生徒さんたちが私を前へ前へと促す。
か、か、鏡が・・・
C老師までが強く前へ出そうとする。
だから、か、か、鏡が・・・
「鏡が苦手なんです」
「あっそ」
せっかく前にと思ったのに、とC老師もあきれ返っていた。
選手なら尚更のこと、鏡で自分の動きをチェックしないと。そういうことなのだろうと思う。
その気持ちは私にも分かる。分かってるけど・・・鏡はどうも・・・。
私は最後尾からL先生の姿を追った。
L先生が遠い・・・やっぱ助言どおり次回はもちっと前に出るとしよう。

休憩時間をはさんで練習再開。
練習後半は42v式総合と42式剣に分かれる。
C老師がL老師に向って中国語で「こいつを頼む」みたいなこと言って、私はL老師の42式総合へ。
なーんか、私ってただのカネヅル?
「お守りは任せた」みたいな言い方やめてません?C老師!
せっかく持ってきた剣は無駄になっちゃったけど、L老師に習えただけで満足です。
いや、習うというほど説明もないのですけどね。
生徒の皆さんはもう出来上がってる人たちばかりなので、2度ほど繰り返しただけで・・・。
ろくにL先生と話せないし質問もできなかった。
追いかけて行ってお土産渡すだけが精一杯。
でもこれが最後じゃない。これで会う機会がなくなったわけでもない。
L先生が日本にいるうちは、できるだけ「がんばって」習いに行きたいと思う。
そういう意味での「がんばって」じゃないのですがね・・・(笑)



一方、私の教室には「見学したい」という若い男性が教室にやってきた。
新聞にちっちゃく載った記事を見たのだそうだ。
上履きを持っているなら一緒に動いてみては?と親切心をおこしたのが間違いのもとだった。
彼はしっかり上履きを持参していて、5月から始めたハルミさんと一緒に動いてもらうことにした。
弓歩の作り方や、虚歩の作り方、基本的な動作を説明して熱血指導した。
いつも来てもらった人には住所と名前を書いてもらっているので何気に書いてもらおうとしたら
そしたら彼、「まだ考え中なので」「これで入会になるんですか?」と名前すら書こうとしない。
何をそんなに身構える必要があるんだろう?
「月謝はおいくらなんですか?」「毎週来れないから」とか言って、
ヤル気があるんだか、ないんだかハッキリしない。ハッキリさせようとしない。
「無料は何回までですか?」とも。
「無料体験は5週ある月に開いてます。年に2度ほどあります」と説明しても、
「来週も来ていいですか?」と言う。
「いつから払えばいいんですか?」「皆さん払ってるんですか?」と言ったり・・・。
「武徳がない」とはこの言動ではないだろうか・・・。
そんな武徳のない者らしく、帰り際も「ありがとうございました」の一言もなかった。
・・・そして次週、結局彼は姿を見せなかった。武徳がない上に嘘つきでもあった。



さて、‘さなぶり大会’も近づいて、プログラムも決まり、リハーサルの段取りが郵送されてきた。
リハーサルで音楽の音の高さや、ナレーションのタイミングなどを確認したかったのに、それのどれも確認できない。
ひとことで言ってしまえば「勝手にどうぞ」状態。
これじゃリハーサルにならない。
リハーサルというのは、予行練習なわけだから、本番の司会者や音響係りと打ち合わせを持ちながら
進めていくものではないでしょうか?
こんな「勝手に舞台使って練習してかまいません」みたいなのは、リハーサルとは言えないのではないでしょうか?
ブツブツ言っても役所の人間が改まるわけでなし、舞台の位置確認だけでおしまい・・・
ホントに困ったものです。

なーんてブツブツいってたリハーサル当日。
ほかの団体のみなさま、本番さながらにバッチリ化粧してビシッと衣装も決めていらしてる。
リハーサルだから何度も練習をするのかと思えばそうではない。一回だけで引き上げていく。
司会の方がいらしてたのでナレーションの件は打ち合わせることができた。
位置決めで、左に進むので舞台の左に寄り過ぎてしまった。
2度目の確認で少し調整してみたが、まだまだ左に寄りすぎている感じがしてならない。
待ってる次の団体がドカドカ舞台に上がってきてしまい、
結局、私の剣のリハーサルはできないまま終了させられてしまった。
位置決めまでが本番に持ち越しとなってしまった。
これじゃ何のためのリハーサルか・・・逆に本番が心配になってきてしまった。
生徒さんたちを帰した後、私は心残りの剣のリハーサルをしに再度ホールに戻った。
タイミングよく音響担当の人もいたので、「出だしが聴こえるように高めで」と話したところ、
かなり高くてシャー・・・と雑音が入ってしまう。
音が低くて聴こえないよりはマシ、と思い、その音量でオーケーしてしまった。
が、家に帰ってから合点がいかず、明日当日少し下げてもらおうと思い直す始末。
本番が心配です・・・。



翌日、本番。
生徒さんたちに貸すズボンにアイロンをかけて、準備万端。

着替えたら準備体操するはずだったのに、着替えたら皆して勝手に食事取りはじめたではないか!(驚)
ふつう、飲食は着替える前するべきでしょ!
てか、準備体操するから、って言ってるのに食べ始めるか!?
まったくもって武徳ない人たちだよ!(怒) 借り物のズボン履いて食べるか、ふつう。
そのくせ「表演服揃えましょ」って言っても拒んで取り合わないし。
武徳どころか常識のない人たち。
しかも、持ってきたビビンバ丼の卵こぼして汚したって言うし!
先生として見てないというか、言うこと聞かない人たち。
今度という今度は私も呆れた・・・
生徒さんの中には尺八の先生しておられる方もいるというのに、
師匠に対してもこんな態度でのぞんでいるのだろか??

本番では・・・
緊張していたのは私一人のようで、だってのんびり食事ができる人たちですからね・・・。
私は食事なんて喉とおらないし、皆さんが食べてる間も準備体操してました。
どうにか立ち位置も、うまく調整できたし、音量もまずまずだった。
ナレーションもうまく入って、その間私は着替えることができた。
私は緊張なのか、太極拳が終わって緊張がほぐれたのか、指がプルプル震えてボタンがうまくはめられなかった。
一人での剣は自分が納得いく動きはできなかった。残念。
むしろリラックスしてた昨日のリハーサルの方が数段うまくいったように思う。
昨日、袖で見てた副会長(←踊りの師匠)から「引き込まれそうだったわ、剣の舞♪」なんて
お褒めのお言葉をいただいた。けど・・・
「(舞い・・・)」

私的には散々だった今回、ひとつだけ嬉しいことがあった。
今回の会にでられなかった生徒さんのひとりが観にいらしてて、控え室に来てくれたのだ。
携帯で写真撮ってくれていて、「よく揃ってましたよ!」と感想をくれた。
それが少し慰めになった・・・
次回は秋祭り。
それまでに別の套路が披露できるように、生徒さんには研鑽を積んで欲しいものだ。
それまで続けているかどうかは大いに怪しいところですが・・・



7月
@我が教室の面々
「さなぶり大会」が終わった翌週、
いつもの練習日に行くと、「先日はお世話様でした」と武徳のない生徒たちがやってきた。
表演用のコスチュームがないため、私のズボンまでも貸し出す親切さ。
その親切に付け入るかのような言動が・・・
「先生、セコイ話なんですけどね」
そんなセコイ話しなど聞きたくないと思いながらも、なんだろう?と思い聞いてみると
「いや、ほんとにセコイ話しなんですよ!」
と前置きがやたら長い。
「家族割り、ってないんですか?」
セコイ、ってそういうことか・・・
奥さんを誘うということらしい。
私はとっさに往復新幹線で通ったことや、現在も東京に泊りがけで習いに行ってることなどが頭に浮かんできた。
私の報酬など、東京の教室1回分より安い・・・。
おまけに先月、タダで習おうとしていた男性が太極拳を習う事にしたと、やってきた・・・。
その男性タケダ君は、20代後半だと思うが、毎週なにかしら、しでかしてくれる。
1週目、ぶかぶかヨレヨレの外履きを、上履きにして、かかとを潰して履いているから、
「かかとで蹴る」説明をしても、踵がヨレてるから蹴る動作ができない。
第一、バッタンバッタンやたら、うるさいっ。
2週目、帰り際。
「ビデオで撮影してもいいですか?」と聞いてきた。
「いけません」
「なかなか覚えられないので、撮影させて欲しいのですが」
「一度で覚えられる人などいません。忘れても構いません、教室に来て繰り返し練習しましょう。
みなさん、そうして覚えてきてるのですよ」
「それなら、ビデオとかDVDとか出てますよね。それを見てもいいですか?」
「見るのは構いません。それで体を壊しても責任は持てません。
DVD見て動作を覚えるなら、私の動作を覚える必要はないですね。DVDで太極拳を覚えたほうがよろしいのでは?」
突き放した翌週は休み。
DVD独習するのかと思いきや4週目、終了時間30分前くらいにやってきて、
みんな集中して套路とおしてるところにバッタンバッタン靴をバタつかせながら入ってきた。
「みんな集中してるんだから静かに入ってきなさい(怒)」
注意しても分かったんだか、分かんないんだか要領を得ず、言われたことが理解できないようす。
そもそもタケダ君、きみはどうして太極拳を覚えようと思ったんだい?

A公民館講座の面々
依頼されていた町の公民館主催の「夏の短期講座」(全4回)がはじまった。
町にいくつかある公民館の中でもまだ新しく、田舎の公民館にしては宝の持ち腐れ的な、
とてつもなく立派な公民館である。が、私の家からは遠い・・・
その公民館の稼動率アップを図るためでもあろうが、夜間の利用で4つの短期講座が試みられた。
このような企画はこの公民館ができてから初めてのことだそうだ。
区民から前もって公民館に要望が出されていたようだが、中でも太極拳は人気が高く、
町報で告知するなり、すぐに定員になってしまったという。
大方の太極拳に持つイメージが、中国の朝の公園風景だろうから、即座にできるイメージだったのだろう。
ゆっくりだし・・・のびのびとあの気分に浸りたいと考えてやってくるのだろう。
残念ですが、そうはいかないのが太極拳の難しいところなのだよ。

相手の思惑は置いといて、私はさっそくプリントを作成し「長く続けることの必要性」を一筆した。
套路は私が作った9式とした。
だって、たった4回よ?!
太極拳の雰囲気を楽しんでもらって(楽しめるかな?)踊りじゃないって事を理解してもらって、
ゆっくりだけど難しいもんだな、と実際に動いてみることで太極拳を体験してもらえればそれでいい。
続けたいと思った人は継続するだろうからね。
今回の定員は20名だったが、公民館の館長が言うには
「こういう講座が継続されたためしがないんですよね。毎回人数が減っていきましてね・・・」
講師の力量も試されているようで少々怖い発言にも受け取れた私です(←深読みか?)

第1回。
20名全員が遅刻もなくハリキッテ集まって来られた。まずは準備体操を始める。
軽いストレッチをしただけで「では、これから練習を始めます」と言うと「え〜?!」と、
まるで私の東京教室状態だ(笑)その気持ち、よく分かる。今日は初回なので歩法や基本的な動作を練習。
興味を持って参加されている人ばかりだから期待と希望でみんな明るいし、元気だ。
楽しく一回目を終えた。問題は来週どれだけ集まるか・・・

第2回。
20人中18名参加。館長に脅された割には参加率高い。
套路の説明に入ると、「見ててもできない〜」と泣きが入る。
時間が経つにつれ、思いのほかの難しさに戸惑う面々・・・最初の元気はどこへやら、ドヨ〜ンとした雰囲気に。
「大丈夫、大丈夫。最初からできる人なんていませんよ!」
と励ますも、こんなゆっくりの動作が何故できないんだろ?と頭がいっぱいのようで、
私の「ここまで良いですかぁ?」の問いかけにも「 ・ ・ ・ ・ ・ 」返事が返ってこない。
「みなさ〜ん!ドヨ〜ンとしてますよ〜!さあ、もう一度くりかえしましょうね!」と、ムリヤリ明るくふるまう私。
でも内心、どうしたら分かってもらえるか、どう説明したらできるようになってもらえるか、
頭の中を、めまぐるしく渦巻いていた。
といっても、本来すぐできるなんてありえないし、できなくて当たり前なんですけどね。
苦戦の生徒さんたちは休憩もそっちのけで練習に没頭していた。
・・・来週の参加率はいかに?

第3回。
先週の感触から、激減するだろうと踏んでいた私の予想を上回る出席率。17名も参加。
ただ、ほぼ全員遅刻!準備体操したくない様子・・・
今回は3つの動作を説明する予定になっている。全4回中一番の難所だ。
生徒さんたちのヤル気を無くさせるほどのボリューム。
「ふつう教室では、一回動作ひとつペースですよ。
でも今回は太極拳を体験してもらうせっかくの機会ですので、少しまとまった動作を、と思いまして」
と言っても、生徒さんの耳に届かず・・・
今回参加してる20名は年齢層が若く、40〜50代である。
だからなのか、できない自分に納得いかない人が多く見受けられる。
中でも30代の女性などはフテクサレながら動いている。これではもはや太極拳ではない。
その彼女は私の前で堂々とエアロビクス講座の申し込みをする始末。
ここにも太極拳に不向きな武徳のない人が・・・。
さて、来週は最終回。
総仕上げの表演をしてもらうつもりでいるが、どうなることやら・・・?

第4回。
出席は心配したほど落ち込むこともなく17名。フテクサレ女もやってきた。
3列になって練習していたので、一列づつで表演してもらった。
「私はこうして太極拳を知っていただく機会が持てましたことを嬉しく感じております。
みなさん、これまで経験のない動きで大変だったと思います。また機会がありましたら、お会いしましょう。
そして楽しく太極拳の練習を一緒にしましょう」と結んだ。
今回受講した女性で60代の方がおられた。
起き上がりが楽なベッドに寝ているというのだが、太極拳をしたらスッ、と起き上がれるようになったというのだ。
凄いね!
体調に違いが感じられるなんて、これぞ太極拳の恩恵に他ならない。
私は、こういう話しを聞くのが嬉しいです。
その女性は「私たち覚えが悪くて先生呆れてるだろうね、ってみんなで話してたんですよ」と、おっしゃったので、
「そんなことないない!むしろ皆さん太極拳初めてなのに、よくついて来てくれて・・・」と、心中を語り合った。

事務室でアンケート結果を見せていただいたら、半数以上の人が継続の希望をだされていた。
「難しかった」と答えた人がほぼ全員で、「楽しかった」はひとり。
公民館側ではまた8月から教室を設けるという方向で募集をかけるという。
教室開講の要望も高く好評に終わってホントよかった。私もひとまず責任を果たし胸をなでおろした。
自分の教室ならなんとでもなるが、講師として出向いた先ではやはり責任は大きい。
8月から12月で継続することになった。
次回こそは未完成に終わったオリジナル9式を完成させようと考えている。

B東京教室の面々
7月1212日の全国大会出場のための練習が、ピークを迎える時期と、
公民館の4回講座がちょうどかぶってしまった。
公民館に行き始めた4週が、私にとっての正念場ともいえた。だから正直、公民館通いは少々億劫でもあったのだ。
誰よりも早く行き練習に専念しようと考えていたが、ひとり早く来る人がいて、
「先生が生徒より早く来るなんて!」から始まり結局おしゃべりに付き合うハメに・・・(涙)
「私、ネイル講座にも参加したんだけど、材料が実費で7,000円も使っちゃった。
でも私なんか最低金額よ!みんなすごいんだから〜」
ふ〜ん・・・そうなんだぁ・・・じゃ、太極拳はタダみたいなもんじゃないのよ。
別の生徒さんにも教室の月謝をたずねられて答えたら「先生、それじゃボランティアじゃないの?!」
と言われてしまった。
そうでしょ?
おまけに舞台に上がるってのに、私の言うことも聞かないで表演服も持つ気ないし。
先生である私から借りといて汚すし。
ま、その話しは繰り返しになるからこのくらいにして・・・
とにかく私はそれどころではなかったのだ。今月は大会前に月一度の東京教室に行っておきたかった。
私はまたも大博打を打ってでることに・・・



大会まであと一週間。
少しでもヒントを掴みたい、少しでもそれを反映できるように仕上げたい。そう思ってでかけた。
虎の穴教室では半数にちかい生徒さんが選手である。
私も練習前に「大会に出るの?孫式で?」と何人かの人に聞かれた。
隠すこともなかろうと思って「恥ずかしながら・・・」と正直に答えていた。
そうこうするうち、いつの間にかL先生が来ていた・・・。
私ってつくづく強運みたい♪
私は相変わらず虎の穴教室の落ちこぼれで、準備体操にすらついていけない・・・
隣の人に足の組み方を教えてもらってやっと完成・・・それまであぐらかいてたって・・・
恒例の足上げも、手と足がバラバラ・・・とても見られたものではない・・・
毎回L先生に笑われて、「はい、おしまい」って片付けられる・・・

辛い準備体操が終わってからは真剣に孫式を習う。
今回は皆が重心のかけ方を長く注意され、あとは細かい手の動き、とても参考になった。
「重いっ!(怒)」の声が飛んできた。それは明らかに私に向っていたと思われ・・・
違いは分かってもなかなか覚えられないところもたくさんあったが、
大会に反映したいと思うところが見つかって、今日来てよかったと思った。
休憩時間、先生方は別室に行ってしまうが、有志で孫式の復習をしていた。
私も後方で参加させてもらう。
生徒さんたちも「今日の孫式良かったわね♪」と囁いていた。
月に一度、しかも今回で2回目の私には、普段の練習と今日の練習の違いがよく分からなかったが、
いつもは動作の説明のみで、深い説明はないもだそうだ。
「(へー、そうなんだ・・・いつもと違うんだぁ・・・)」
そこへひとりの女性がキビシイ表情で近づいてきた!
「あなたの手の動き気になるのよね!(プチ怒)L先生は近くを回してるでしょ!?あなたの見てると遠くよね!」
「スイマセン・・・どの辺に手を・・・?」
「ここでしょ?お腹の下っていうか(こいつ、そんなことも知らないのかっ、と言いたげ)」
「(・・・はあ、そうなんだぁ)」
正直、言ってもらわなければ分からなかった。
なぜか、この女性ややキレぎみで怖かったけど、私は注意してもらえて有難かった。

休憩時間がおわり、第2部がはじまる・・・L先生は42式総合だ。
前回は遠慮して後ろのほうにいたが、今日は積極的に中に入れてもらおうっと。
私にしては珍しく積極性を見せ、中に入ろうとしたとたん!さっきの人とは別の、さらに怖い女性の声が!
「あんた選手でしょ!ここで何してんのよ!」
「(へ?なにごと?)」
「あんた、大会に出るんでしょ!あっちで練習しなさいよっ!」
「(え?どういうこと?)」
言ってる意味が良くわからないんですけど、あまりの迫力に私は無言で後ずさりしていたのでした・・・(涙)
それで別のおばちゃんにぶつかりそうになって・・・
「選手は自主トレするのよ!あとで先生が見てくれるから!」って怒鳴られて・・・(涙)
先生と言ってもL先生が見てくれるんじゃないし。
(えー、そんなぁ。。。)
(L先生に習いたくて来てるのに、入れてくれないんですかぁ。。。)
涙目でL先生を見てもL先生は笑いながら聞いてるだけで助けてはくれないし。
結局、締め出されて、ほっぽりだされた・・・(悲)
ほっぽりだされて、ここでひとりで孫式の練習しろ、って言われても・・・(泣)
そんな恥ずかしいことできませんて!
とにかく!
こんな虎の穴の面々の前でひとり自主練習だなんて、顔から火が吹きだしそうですってば!
(ショック! → ショボ〜ン・・・ → 思考回路壊滅)

私は入れてもらえないショックで、しばらくボーッと突っ立って、
L先生の42式のほうを指をくわえてと眺めていたりしていた。
でも、練習しないとまた叱られそうだから、仕方なく練習始めたりして。
「(うわ〜ん、選手だなんて言うんじゃなかったよぉ・・・大会出るなんて言わなきゃよかったよぉ・・・)」

結局、一度動いただけでまたボーッと突っ立ってた・・・
それでほかの選手の邪魔になったりして・・・
邪魔くさいとこに突っ立ってるから剣で刺されそうになったり・・・
選手は自主練習に余念がなく、それはもうガンガンに練習しまくっていた。
驚いたことに、選手の人たちは全員、本番さながらに表演服に着替えてきて練習していた。
もちろん選手ではTシャツ姿は私だけ・・・しかもボーッと突っ立ってるし・・・自主練習する気ないし・・・
きっと虎の穴の全員が、L先生も、こいつ選手として自覚はあるんだろうか?って思ってたに違いない。

やっと恐怖の自主練習時間が終わって、やれやれと思っていたところへL先生が。
「あんたの孫式見てたんだけどね・・・○○と△△直して!わかるよね?」と。
結局、分かってなくて要領を得ない私に実演までしてくれた。それでやっと納得した私。
私は言われたことを、きちんと理解しようと一言たりとも聞き漏らすまいと
前のめりになって必死の形相になっていたと思う。
「これだけ直して!あとはいいから」
「ありがとうございました!」
蚊のなくような声でしか言えなかったが、本当に嬉しかった。
注意点は山のようにあったのだと思いますが、たくさんありすぎて今更言ってもどうにもならないだろうと
言わなかったのだと思う。
それにしてもまさか直接アドバイスしてもらえるとは、思いもしていなかったのでメチャクチャ嬉しかった。
要点はふたつ。
だが、そのうちのひとつは全体を根底から変えていかないと直せないものでした。
さっき、手の動きを指摘してくれたお姉さんは、
「やあ、さっきは選手とはつゆ知らず、大会まで時間もないし、もう直さないほうがいいわよ」
と言ってくれたが、直せるところはできるだけ直していきたい。
まだ一週間ある。出番ギリギリまで諦めず直すように心がけていくつもりだ。

それにしても、虎の穴出身の選手たちと全国大会で激突するわけだから、そりゃ勝ち目ないわね。
虎の穴の選手は東京予選を突破してきてるツワモノぞろい。
その人たちが、この教室に集結して、与えられている自主トレ時間を寸暇を惜しんで練習積んでるってのに、
私のように練習もしないでボーッと突っ立ってる者の気が知れないですよね。

練習を終えて駅に向っていたら「遠くからいらしてるんですって?」と声をかけられた。
「(たしかこの人は、総合42式の選手だ)」
さっき、L先生に何度も質問してた女性だったから覚えていたのだ。
「L先生に孫式習いたくて来てるんですが・・・今日は離されちゃって」
「そーよね。せっかく来たんだもの習いたいわよね。大会近くなると選手は自主練習になるんですよ」
「そうなんですね。知らなかったもので涙目になっちゃいました」
「ふふ。そーよね・・・(笑)」

あ〜あ、今回はさして練習もしてないのに疲れたぁ。
あ!
次回行ったら成績聞かれるよね。
ゲー、かなり恥ずかしいよぉ。
やっぱ、大会出るなんて言わなきゃよかったよぉ・・・(泣)



9月
@東京で
8月は孫式担当のL先生が中国にお帰りとのことで教室を休むことにした。
折りしも2008年はオリンピックイヤーで、テレビ放送こそないが武術大会も北京で同時開催。
選手はオリンピックの選手村を使用している。
L先生も武術大会に何らか関係していての帰国なのかもしれない。
そんなわけで私は9月になってから練習に行くこととなった。
ところが私は8月に珍しく夏風邪をひき、まわりから「なんとかのカクラン」などと言われるハメに。
本格的に熱もあり、かなりしんどかった・・・まだ咳はおさまらないが、第二週に行くことにした。
少しムリをしてでも行きたかったのには訳がある。それは練習のほかに目的があったからだ。
ひとつは銀座三越で開催されているジミー大西展が見たかったから。
もうひとつは両国の江戸東京博物館で開催されている「書の名宝展」が見たかったから。
そして両国まで行ったからには国技館に寄って「相撲博物館」が見たかったから。
そしてあわよくば相撲TシャツをGETしたい・・・いずれも開催時期が9月155日まで・・・
てか、それって観光じゃん!



一日目、午後2時に上野着。
昼ごはんは電車の中で済ませた(コンビニのパンとジュース)のでそのまま銀座へ直行。
ジミーちゃん展は大盛況大混雑だった。初期は紙に水彩が続く・・・水彩だからひび割れが始まっている。
おそらく「それでは作品として残らない」との助言があったのかもしれない(憶測)。
以降、特にスペイン時代は油絵が主になっていた。
が、油はジミーちゃんにとって扱いづらい材料だったのかもしれない(憶測)。
キャンパスに水彩あり、キャンパスにアクリル絵具あり、紙にアクリル絵具あり・・・
商品化されるようなもの、例えばワインボトルのラベルなどはやはり紙に水彩だった。
ジミーちゃんにとっては水彩が描き易いのだと思う(憶測)。
描く材料が変わってもその画風が変わらないのも驚きだった。
縁取りをして中を着色して埋めていく手法をとっているようだが、
初めは黒一色だったのが年数を経てカラフルに変化してきている。
「縁取りがこれで、これが中塗り・・・中塗りがこれで、これが縁取り・・・どこまで縁取りで、縁取りがこれで・・・
ややこしやーぁ、ややこしや。。。」
また、想像するにジミー画伯は棟方志功並の至近距離で描いていると思うのだが、
作品からその距離感は見えて来ない。
例えば、タイトルにたしか‘衣替え’というのがあった。
私は絵に張り付くように30cmくらいの距離でジーッと「なぜにこう描けるのか?」と
画伯のパズルのような複雑、それでいて完結している作品を描き出してしまう、ジミー画伯の天才ぶりに
首をかしげながら進んでいたが‘衣替え’の前でも「この絵のどこが‘衣替え’なんじゃ?」と
別の意味で首をかしげていた。
スーッと絵から離れてみて見えた!至近距離では見えてこなかった「あ、Tシャツ!」
ジミー画伯の絵は小品であれスケールがデカイのだ!


ジミー大西「夢のかけら展」ポスター


銀座に来たからには‘鳩居堂’に寄っていこう。
書道用品を見に2階へ上がると、日本のお土産にするのだろうか外国人が多く見られた。
というか、日本人は私だけだった・・・

鳩居堂。
隣は大黒屋、そちらも外人のご婦人方ばかり・・・



4時を過ぎた。そろそろ練習場に向おうか・・・。途中、コンビニでパンとジュースを買ってロビーで食した。
教室の皆さんに全国大会に出場した選手の写真を何枚かお土産に持参していた。
いつも一番にやってきて一人熱心に練習しているSさんに差し上げると意外なくらい喜んでくれた。
「自分が映ってる写真見るの初めて・・・♪」と。
そうなの?
常連の代表選手だから持ってるかと思いきや、想像以上に喜んでもらえた。
他の人たちも「うれしいっ♪ねえ見て見て♪」と喜んでくれた。
こんなに喜んでもらえるなんて予想外の展開・・・

初めてここ‘虎の穴教室’に来た時は、あまりのオチこぼれぶりに、どうなるかと思ったものだが
そのツライ準備体操にも少し慣れてきたみたい・・・。
孫式は毎回勉強になるし、今回42式総合でも収穫があった。
10月に交流大会があるとかで生徒の皆さんは休憩時間に猛練習している。
きっと、L先生もなにか表演されるんだろうなぁ・・・見たいなぁ。
これまでだと、孫式、八卦掌・・・今回は?

練習が終わって帰り際、L先生に礼したら、「ガンバッテネ」ってまた言われた。(6月にも言われた)
私ってよほど頑張らないといけないみたいです。
「(太極拳を始めてから、もう長いこと経ってるのに私って進歩してないんだなあ)」
・・・道々そんなことを考えながら、宿に帰る。
今日は朝からパンとジュースしか食べてない。急にお腹がすいてきた。
宿の近くにあった回転寿司店に寄った。自分の太極拳の不甲斐なさをかみしめながら寿司をつまむ・・・

今回用意された部屋は茶室を改造したもよう。
蛇口がついてました・・・



二日目。
帰りの切符を求めに金券ショップに行った。
いつもなら切符だけ購入してショーケースなど見ないのだが、その時は何気に眺めた。
・・・と、そこで発見!
今日、これから行こうとしている江戸東京博物館のチケットがなんと、たったの300円!
(え?)
「あの、このチケット300円なんですか?」
「そうなんですよ。これから行かれる予定がありましたら大変お得ですよ。
常設展も観れて1,520円のチケットが300円ですから。
・・・もうすぐ特別展示が終了ですからお安くしました。それに両国はここから遠いので売れ行きが良くなくて・・・」
そんなに遠いとも思えないが、とにかくこのチケットは買いでしょ!
運良く激安にチケットを手にし、私は次なる両国へ向った。

北京故宮博物館蔵の書の名品、書聖とうたわれている王義之の書いた蘭亭序。
この真筆(厳密には真筆は現存せず、臨書の名品)の日本初公開である。
開催終了間近とあって、こちらも大混雑。書道愛好家なら一度は見ておきたい蘭亭序の本物。
全国からひと目見ようと集まったに違いない。私もその一人・・・
名品といわれている作品はほとんどが巻物である。
私たちが羊毛の大筆で半紙や条幅に書いているのは、何十倍にも拡大して書いているのだ。
本物は写経のような小文字であり、したがって筆も小筆で書かれたものばかり。
それをわざわざ一文字一文字を巨大に拡大して書く意味はあるのだろうか?とさえ思う。
そういうふうに書いたところで、それは臨書と呼べるものだろうか?と疑問に思う。
蘭亭序はものすごーく細い字だということが分かった。
そして歴代の中国皇帝が愛蔵し(それは押印されたおびただしいハンコが物語っている)
きらびやかなケースに入れて今日まで大事に保管されていたことに間違いはない。

もうお昼になろうという時間なので、大急ぎで常設展をみる。
何年も前、私がまだ会社員だった頃、一度社員旅行で常設展は見ている。
そしてひとり抜け駆けして国技館に行ったのだ・・・
駆け足でひととおり見終えて、ミュージアムショップを覗く。早くもここで相撲TシャツGET!
「Lサイズにしようか・・・LLサイズにしようか・・・」
選択肢にMサイズはない。。。


江戸東京博物館


そしてすぐ前の国技館へ向かう。
秋場所が近いので登り旗が立っている。相撲協会の諸問題を撮影するレポーターも立っている。
「(相撲博物館はどこじゃ?・・・どこから入ればいいんじゃ?)」
と、正面玄関通り過ぎた。
と、庭園?料亭?らしき一角が。
「(ここはなんじゃ?)」
旧安田邸庭園とあった。
駅に戻ろうと、‘相撲博物館本日休館’の張り紙発見・・・
そしてそのすぐ横に‘番付表あります’の張り紙発見・・・
せっかく来たのだからと記念に番付表を購入。両国駅では歴代横綱湯飲みを購入。
そんなこんなで両国で、もう2時を過ぎていた。
上野まで戻ってアメ横をチラと見て、昨晩ふらりと入った回転寿司屋で遅い昼ごはんにする。
もう、お腹ぺこぺこ。残暑厳しく暑い一日だったので冷たい麦茶が美味しかった〜。


両国国技館



A公民館講座で
8月から14名で講座が始まった。
その後一人、そして9月にはまた二人・・・と人数が増えて17名になった。
なったはいいが、「腰が痛くて」と一人抜け、「膝が痛くて」とまた一人抜け、結局15名。
その15名も全員が揃う事はなく、12月まで10名残ればよいほうだと思う。
教室の雰囲気も相変わらずドヨ〜ンとしてるし、なぜに和気あいあいとならんのか測りかねる。
私がマジメすぎるからなの?
難しいこと言い過ぎるからなの?
先日はこんな会話を耳にした。
Aさん「覚えられないから図書館からビデオ借りて見たんだけど違うのよね」
Bさん「本も出てないし」
Cさん「私も図書館からそのビデオ借りたわよ。でも分からなかった」
ビデオって楊名時か?
それとも李徳芳か?
Dさん「インターネットで調べたけど分かんなかった。ここでしかやってないのね?」とも。
私、信用されてない、ってこと?
技量疑われてる?
「正しい太極拳」を知ってもらおうと、自信持って教えてるのに疑われてるんじゃ世話ない。
これだから私にとって‘教えることは消耗’以外のなにものでもない。
それもそのはず、人間関係の煩わしさから逃れられるから太極拳が好きなのだから。
私には、ひとり河原で打つ太極拳が似合ってるのかもしれない・・・。

B我が教室で
我が教室では、それがさらに顕著だ。
毎年恒例となっている「町民文化祭」の舞台発表部門参加について教室で話し合いを持った。
私としては全員参加を念頭に話しを進めたかったが、この日の練習参加者は5名ほど。
ま、全員が参加してたとしても2、3名を加える程度なのだが・・・
全員参加の方向で話し始めたのだが、どうも消極的というか、むしろ異を唱える人まで出てきた。
「この少人数ではかっこうがつかない、恥ずかしくてステージになど上がれないだろ」みたいなことを言い出した。
要するに、理由は‘少人数では舞台栄えしない’と言いたいらしい。
そりゃ、私たちは弱小団体かもしれない。
だからといって他の団体がしているように、助っ人応援を動員して華々しく披露するのは
果たしていかがなものだろうか?
私は太極拳の演武というものは、華々しく見せるのではないと思っているし、
これまでの練習の成果を発表するのに少人数だからといって何の不満があるのだろう?
現在の自分の太極拳の力量では舞台に上がれない、というのな分からないではないが、批判がましく、
ついには春に参加した先日の‘さなぶり大会’を持ち出して「あの時のようにはいかないと思いますよ」とまで。
一瞬、暑くもないのに背中に変な汗だか汁が噴出した。

太極拳に関しては私はこれまでの経験がある。
少人数だから舞台に上がれないなんてことはない。
生徒に知ったかぶりで、どうこう言われる筋合いではないのだ。
太極拳は大人数で華々しく見せるものではない。一人の演武で魅せるものである。
そのためには日々の修練が不可欠。
それが理解できないようでは太極拳の何たるかが、まだ分かっていない証拠である。
武徳ない言動で他の生徒さんに影響を及ぼすようでは、まだまだ太極拳の力量を磨いてから出直すのがよかろう。
少なくとも生徒さんたちより私は太極拳の経験も長く、これまで多くの表演を見てきている。
私自身競技の上でも表演に関しては経験がある。
舞台のことで太極拳を始めて一年足らずの人に説教される覚えはないし、
指導を受けていながら敬意が持てないなら、他の教室で習っていただいていっこうに構わない。

話はそれたが、今回の‘秋祭り’でも私は参加者を募るつもりは毛頭ない。
もちろん全員参加で臨みたいという希望はあるが、あくまでも主役は生徒の皆さんである。
私は自主的に参加したいという人の指導なり、音楽のセレクト、表演服の調達等でサポートすることは惜しまない。
現にさなぶり大会では私の持ってる表演服をお貸しした。
先生の言うことなどないがしろにし、準備体操より食事を優先するような考えで舞台に上がるなど、
私からしたらそれこそ言語道断だ。

私が「私たちは練習してここまでできるようになりました。そういう発表の場でしょ?
人数が多ければいいというものではない。それでは意味がないんですよ」と話しても納得しない。
出演を強制はしない。主役は私ではない。あくまであなた方なのだから・・・。
誤解しないで欲しい。ゴネてしぶしぶ出るくらいなら初めから出なけりゃいいだけのこと。
それに舞台といっても、特に今度のような‘秋祭り’や‘さなぶり大会’のような舞台というのは、
私からしたら演芸大会である。
なかには「(お?)」と思う人もあるかもしれない。しかし、それは期待するに及ばない。
太極拳は自分のためにするもの。
それが舞台であっても、現在自分のできる太極拳にベストを尽くすこと。
それがその後の練習の糧、励みとなる舞台というものではなかろうか・・・。
まだ、出演できると決まったわけではないが、承認されれば私一人で舞台に上がるとしよう。
そもそも太極拳を大人数で見せたい、という発想そのものがどうかしてる。
それに表演服を持つ出費すら渋ってるようす。どだい舞台になど上がれないではないか・・・。

うっうぅ〜・・・頭が痛い。
愛好者が集い気持ちよく太極拳を楽しむなんて絵空事だったのか。
少なくとも我が教室では現在、それは実現出来そうにない・・・
生徒がついて来ないのは、私に徳がないからなのだろう。
教室をたたんで河原に帰る日はいよいよ近い・・・



10月
いやはや、何から書けばいいのやら・・・

まずは「町民文化祭」の続きをお話ししましょう。
各団体の代表者の会合が行われたのが、10月6日。
この会合で発表を申し込むために教室で了承を得るべく、話したときのことは先月書いたとおり。
失礼千万な一人のために他の生徒さんに影響が及ばなければいいのだが、と憂い精神的疲労から
また後頭部がハゲに・・・(悲)
会合では展示部門と舞台部門に分かれて話し合いが持たれ、机を‘コの字型’に並べ進行された。
出演団体も絞られると聞いていたが、そんなことはなくて立候補を表明した団体すべての出演がすんなり決定。
持ち時間は10分〜15分以内。
その場で出演順番まで決めてしまう早業。
早い時間を狙っていたのだが、手を挙げ損ねて遠慮してるうちにどんどん後ろへと・・・
「うわぁ・・・どうしよう・・・」とつぶやいたら隣りに座っていたオバサマが(たぶん踊りの団体の人)
「ほら手を挙げ続けないと遅れていくわよ」と声をかけていただき、なんとか午後の早い時間で出番が決まった。
なにぶんにも初めてのことで勝手が分からず、マゴマゴしてたが、このオバサマがたまたま隣でよかった・・・。
このオバサマさらなる情報を提供してくれた。
「舞台バックの色を変えてもらうこともできるのよ。着物が映えるような色にしたらいいわよ♪」と。

出演を決めた翌週、教室でその旨を報告。
不満がおありの人には「今年の秋祭りはパスしていただいて、他のメンバーで考えてまいります」と話しをしたところ
「いや、うちの家内は出られますから」と言うではないか。
それでも、立腹していた私は「今回はムリなさらずに」と優しさをつくろって話したが
「私も出られますから」とまで。
そこで「ムリせずに」「いや大丈夫です」の押し問答が続いたところで奥さんが堪りかねて叫んだ!
「出ますっ!主人も出たいんですっ!」
ガーン。。。そうなのぉ?
それならもはやこれ以上言うことはないので、私は話しを切り上げ表演服選びの話に入った。
今回出られないと言う人の中にも表演服購入希望があったりもした。
本番まで1ヶ月を切っている。注文を急がねばならない。私も選曲に套路作りに急がねば。

一方、公民館講座のほうでは・・・
その週に出席したのは8名にとどまった。うち出演希望は2名。
こちらでも表演服選びを行う。私が見本に持っていった表演服を断わりもなしに着てみたりして
「あなたも着てみたほうがいいわよ」と別の人にも勧めている。
おかしいでしょ?
その表演服は私の私服なんですけど!
あなたが勧めるのおかしくありませんか?
それに他の生徒さんたちに「出演料もらわなきゃね」なんて言われたり・・・。
開いた口がふさがらないとはこのことか。

この公民館講座は今年12月でいったん終了ということにしている。
来年4月から希望者の人数次第で再度考えることにしているが、先日公民館の職員と話したところ
来年からは使用料が発生する。今なら会費は格安。
その会費から保険代金支払って、ガソリン代かけて・・・人数次第では閉鎖と考えている。

本番を翌週に控え、入退場の練習、そのためのプリントも作成し渡しているのだが
肝心の出演者たちは私任せで読みもしていないようす。そのくせ感謝の‘か’の字もない。
公民館講座のひとりなど「上履き忘れないようにね」と念を押したところ
「え?体育館じゃないんですか?」って言い出したり。
不満があったご主人は、しばらく黙って練習を積んでいたが、直前になってゴネだした。
「(またかよ・・・)」
「それでしたら初めの演目には出なくて構いませんからムリせずに」と突き放した。
そしたら向こうも負けじと「そうですね、そこは臨機応変に」と言うではないか?!
臨機応変にされたら困るんですけどっ!(怒)
メンバーが決まって演目を考えてる最中なんですから!(怒)
たかだか2,3ヶ月で舞台に上がれる、感謝の念はこれっぽっちもないのだ・・・。
まったく、頭病みだよ・・・うわ〜、また毛が抜けた〜(泣)



そして本番当日。
やはり舞台は緊張します。競技大会より数倍緊張します。
音楽のせいかな、とも思います。音にあわせるだけでも集中力が途切れてしまう。私はそうです。
それに、集団だからでしょう。他人のペースに合わせることが苦手。一人の方が数段マシというもの。
演目は3つ。初め88式自選、谷村新二‘昴’の二胡バージョンに乗せて4人で。
次が私一人ので13勢刀。
最後フィナーレは始めて2,3ヶ月の方たちと全員で24式自選。
集団の2演目は全体的には成功したと思う。私は足を挙げ損ねたところがあったけど・・・
13勢刀では途中で靴紐がほどけて、なんともだらしなくなってしまった・・・
靴紐ほどけてたら観てる観客が集中できないよね。いやあ不覚でした。
最後24式になって私はようやく落ち着いてきた。
私は3演目すべてに出ていたが、24式だけに出られた人たちは、さぞ緊張していたと思う。
「なんだか無我夢中のまま終わってしまった」「出来ることならやり直ししたい」という感想でした。
それは私の感想でもありました。
出演はできなかったが見に来ていたFさん(♀)はビデオで撮影をしてくれた。
出演を終えてからは写真撮影もしてくれた。
そんな時も、私は脇へ追いやられて・・・先生を囲んで、じゃない。
ところで、観客席のFさん(♀)の感想・・・
「もっと揃えばよかった。音楽がもっと分かりやすければ合わせられたかも」と。
撮影してくれた映像をみたら、十分合ってたと思うのですが・・・
太極拳始めて1年やそこらで人前で何をどうできるというのだ?
私は、みんなにこれまでの成果を発表してもらえるよう構成を考えたつもりです。
次回からは自分達で選曲し套路を作って練習し、息を合わせてもらおうかな?
生徒さんが自主的に組み立てられるならそれに越したことはない。
とまあ、じつに後味の悪い今回の舞台でした。

・・・そして、私は気を取り直してと!
3週間後に迫った県大会に向けて、恥ずかしくない‘孫式’を見せるべく練習に取り掛からねば!